空き家の解体時のコスト削減アイデア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

空き家の解体をしていく際に、廃材をどう使うか。それらを自分で行えばより解体費用を安く出来ます。産業廃棄物については建設業や解体業の資格が必要で、一般廃棄物のように簡単に「捨てる」ことは出来ません。最近見たニュースから空き家解体時のコスト削減について考えてみます。

米原市は空き家解体での廃材再利用を民間会社と協定

滋賀県米原市は、地元の木材リサイクル会社山室木材工業と協定を結んだようです。それは、空き家解体で出てきた木材の再資源化を進めるもののようです。木材の再資源化推進 米原市とリサイクル会社協定 /滋賀

山室木材工業株式会社と「空家等の除却促進に関する協定」を締結とあり、回収した木材を紙製品へのリサイクル、バイオマス発電燃料としていくようです。また、廃材自体は同社が無償か特別価格という形で買い取る形となり、その分所有者にとっては解体費用が安くなります。

一方で米原市にとっても、行政代執行の際に、解体費用を安くすることが出来るでしょうから、所有者または米原市にとってもメリットがあり、同社にとっても資源リサイクルをアピール出来る形になるのかなと感じました。

米原市は、空き家所有者から解体の相談を受けた場合など、同社を紹介するということですね。

協定の内容は?

ただふと思ったのは、米原市にとってこの協定を結ぶことで、特定空き家の解体費用を削減していくことで、モラルハザードにもつながりかねないのでは?ということも思いました。そこで協定内容を確認してみます。

上のページにチラシがあり、啓発チラシでは、10センチ角以上の接着剤未使用の木材である構造材については、空き家解体現場にコンテナを無償設置し、さらに無償で回収・処分するということです。

木くずである構造材以外の場合は、解体業者に処分場まで運んでもらえれば、特別価格で処分するということです。

空家等の除却および再資源化等の促進に関する協定書では、やはり「市民の生活環境に悪影響を及ぼす危険な空家等の除却および空家除却に伴い発生する建築廃材の再資源化を促進することを目的」と書かれており、再資源化を推進することが狙いとなっています。

チラシでは、ごみの減量化と有効活用に貢献+木材廃棄物の処分費用を抑えられるとある一方で、協定の狙いの再資源化の促進とはややずれる印象です。もちろん、空き家解体→廃材発生→リサイクル促進ということでつながってはいます。

空き家解体を少しでも安くしたい所有者、または空き家解体助成金ではないですがコスト削減が出来るという意味では選択肢が広がったといえます。

廃棄物としての木くずなどのコストは(参考:産業廃棄物収集運搬処理料金表)1立米で5,000円とか8,000円とか、安くてですが、それくらいはします。仮に1立米1万円として、50立米あれば50万円かかることになります。宮城県登米市の解体費用例を参考にすると、木造2階建てで延床が約46坪で木くずは約43立米となっているので、そこまで大きく外れてないかもしれません。ただしあくまで参考程度です。

木くずだけでも30-50万円程度はかかると考えると大きいといえます。また、これらは処分費として必要なので、別途トラックでの運搬費用がかかります。解体費用において、木くずの相場からどれくらいコストダウンできるかはそれほど意味があるわけではないですが(解体自体全部パッケージ化されているため、切り離しはできないはずなので)、空き家所有者にとって、使わない手はないとも言えます。

これによってモラルハザードが起こり得るかですが、数十万、つまり解体費用が150万程度はかかるとすると、2割程度は安くなるところで、助かると考える所有者はおそらく空き家を解体するわけで、その点で米原市にとってはグッドです。そして、特定空き家になった場合でも、特定空き家所有者が解体費用を捻出できなくても、この数十万円は大きいといえます。ただ、特定空き家所有者が放置して行政代執行までもっていくまで待つというようなモラルハザードが起きるという意味では、そんな金額によって「放置」を助長するとは考えづらそうです。

むしろ、放置する人は放置するため、特定空き家における行政代執行の文脈には影響がなく、空き家所有者で解体したいけど費用がという人に後押しをすると考えたほうが自然でしょう。

富山県富山市での大学での取り組みは、解体費用を6分の1に

空き家解体 自己処理で安く 富山国際大川本教授検証 費用6分の1にが面白かったです。

簡単にいうと、富山市八尾町桐谷地区は中山間地域で放置される空き家も多く、解体に困っている人が多いらしいです。それは解体費用がかかってしまうからですね。

そこでその解体費用を削減出来るやり方はないだろうかという検証です。富山国際大学の川本教授が論文として書いており、中山間地における空家解体費用低減策の提案で読むことが出来ます。

概要としては、所有者自身または知り合いなどに手伝ってもらったりしてまず一般廃棄物である空き家内のゴミを処理します。これだけでも数十万円浮きます。さらに、コンクリート基礎などを残したりすることでコンクリ解体費用を浮かせます。また木くずなどは一般的に焼却炉で燃やせるレベルにおさえていけば処理費用が浮きます。金属など特殊なくずは無理ですが、そうやって蓄積すると最大6分の1までいけるという内容となっています。

実際には、コンクリ部分を残した空き地が出来るのですがそれらを駐車場として活用ということになりますが、これらは解体後の活用後に駐車場などがいるのか?というと疑問が残ります。この取組みからは、解体費用をどう抑えるかというところが主眼であり、その後の活用という視点を重視しているわけではないと考えられます。

また、焼却炉で燃やすと書きましたが、これらも焼却炉が空き家解体現場に置けることと、そもそも焼却炉があるか、また多くの自治体ではルールが決められておりそれらに反すると出来ないので、そういった実践できるかという点も論文の中で書かれています。それが周囲や周りの協力という言い方もできるし、空き家解体における燃やせるゴミの処理は所有者自身が行うことを「奨励」する制度がもしかしたら出来るかもしれません。ただ高齢であれば火が危険ですし、火災にも繋がりかねませんから、ネガティブチェックをすると簡単にはいかないかもしれません。

ただ解体費用を抑えることで、解体費用が高いから出来ないという空き家所有者には一定程度行動を後押しすることになりそうです。

おわりに

今回は2つのニュースから考えてみました。空き家の解体コストを削減することは、専門性が高い分野だと考えられるので簡単ではないかもしれません。一方で、家庭ごみを捨てておくとか、米原市のようなリサイクル会社と協定を結ぶなどのアイデアが出てくると全然違ってきそうです。

またコスト削減の視点があれば何か書いてみたいと思います。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

名古屋の不動産市場を知る

日本ランドエンジニアリング株式会社では、数年に一度のペースで、名古屋中心部エリアの不動産状況を調べています。2017年度は変貌する名古屋5(2017年6月作成)を発行致しました。名古屋の不動産市場を見るデータとしてご活用頂ければ幸いです。

名古屋中心部エリアの調査レポートです。表紙、裏表紙込みで全体で12ページとなっています。配布ファイルはPDF(約2.5MB)で、データファイルはA3サイズですが、A4の縮小印刷でも可読可能です。

レポート内容は、

1.建物の主たる利用別用途図(P.2-3)

2.建築中および5年以内に新築・建て替えられた建物(P.4-5)

3.既存および建築中ホテル(P.6-7)

4.所有権の異動(売買および相続)(P.8-9)

5.投資法人が所有する建物(P.10)

6.名古屋市中心部の状況(P.11)

となっています。

PDFデータをご希望の方は、変貌する名古屋(別サイト)にてダウンロードをお願い致します。

空き家の教科書では、次の一手や戦略が立てられるようになると考え、本資料を配布しております。

詳細を確認する

RSSでもご購読できます。