福岡県空き家活用モデルで売却困難な空き家の収益化事例が勉強になる

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福岡県が空き家活用モデル普及促進事業ということをやっています。イメージでは、空き家の先駆的モデル事業が国の事業なら、これは県独自の事業で、企業が市町村と連携して仕掛けていくものとなります。今回はその1つのモデルである、早川不動産の事例を見てみます。

事例はいくつかありますが、とくに注目したのは売却困難な空き家の収益物件可事業ということで、福岡市+早川不動産が仕掛けたものを見ていきます。

売却困難な空き家

平成29年度空き家活用モデル普及促進のためのパンフレット [PDFファイル/7.22MB]のP.20に事例が書かれています。

概要にもありますが、

  • 長屋建て
  • 駐車場がない
  • 空き家となって5年が経過
  • オーナーはリフォーム賃貸でなく、解体意向
  • 奥側2戸が別事業者所有のため、取り壊し売却も困難

ということで、確かに売却困難な物件といえます。

この物件をワンルーム物件で4戸に改修することで、学生など単身入居者がすぐに決まったという事例となります。

工夫した主なアイデア

なぜこの事例がうまくいったかを考えてみましょう。P.22,23にも工夫が書かれています。

改修工事費を下げるアイデア

普通にやるとこういった物件は改修工事費用がかかりすぎてしまい、収益をあげるまでが大変です。そこで、この事例では、

  • 部分的に自分たちで施工。一部は職人に。
  • 建具等に中古品やアウトレット品を使う

自分たちで施工するというのは、外注などプロにやってもらえればコストがかかってしまうけれど、そこまで技術的に難しくないならできるということです。また建具等と言われているのは、窓面の中古サッシ、中古玄関ドア、中古トイレ、中古アルミドアなどの中古品を使っているということです。アウトレット品は新品だけど梱包材が凹んだとか、事情がありディスカウントされているもののはずです。

これらはグループ会社が建設会社であることを活用して、自社物件の解体時のもので使えるものを再利用したり、またはアウトレット建材がストックとしてあることからできたと言えます。

図面を見てざっくりですが以下の改修点がありそうです。

洋室(ワンルーム)部

  • 畳をフローリングにする
  • 洋室の窓面数の中古品サッシを設置
  • 玄関には中古品玄関ドア

キッチン

  • 流し台の新設
  • 洗濯バンの設置

トイレ・風呂

  • 脱衣所の設置
  • ユニットバス新設
  • シャワー水栓付き洗面台新設
  • 中古品トイレを設置
  • 新設ドアを設置

その他

  • 部屋の間仕切りを外す
  • バルコニーは中古品アルミドアを設置
  • クローゼットに新設扉

他にも物件調査で、壁面、基礎の改修が必要で、雨漏り被害、シロアリ被害など結構な改修費用がかかりそうではありますが、グループ会社という点である程度融通を利かせたのかもしれませんね。

ニーズはどこかを見極める企画力

長屋戸建てで古いものというとあきらめてしまいがちですが、そもそもどういうニーズがあるかを考えて見極めた上での企画と言えそうです。

これは言うは易く行うは難しで、不動産会社の企画力、構想力があったといえそうです。とはいえ不動産会社でも色々あるわけで、地元のニーズをしっかり見ている目があれば動向が分かるため比較的ニーズ把握は容易だと考えられます。あとは実行できるかどうかですね。

不動産再生手法として展開ができる

資料にはほかへの展開可能なものとして2点かかれています。

1つは、グループ会社連携をして不動産再生手法をしていくということです。宅建事業者と工務店などが組むということで成功例を他にも作れるのではないか、もちろんオーナーの意向等で簡単ではないかもしれませんが。

2つ目は、建具等リサイクル品の活用、改修コストを削減したことです。費用感は参考程度にしかなりませんが、例えば、ホームプロというサイトにある費用相場から考えると、これらのリフォームをするだけで建具、設備品だけでも相当数百万はかかり、職人等プロがやるとさらにかかりそうです。ざっくり500万くらいかかるとして、その場合戸数が4戸あるので2000万。家賃が3万ちょっとなので、3万として4戸で12万。年間144万。2000/144=14年は改修でかかります。

これはおそらく駄目でしょう。最低でも10年程度、可能なら5年程度で改修したいと考えたい。例えば学生や若者が大学や専門学校等でまだ確実にある(少子化により学校等は減る傾向なので)ということやなにか周辺の強みがないとのんびりは構えられないからですね。

仮に5年で投資金額回収でれば、家賃は144万円として、改修費として700万程度に抑えると可能です。1戸あたり175万です。この金額でいけるか分かりませんが、それほど外してないのではないかと考えています。また10年プランだと、その倍の1400万であり1戸あたり350万です。

これらから5年~10年で投資回収するならば、金額的に改修費は700万から1400万程度に抑えられることでシミュレーションして実施されたはずです。

売却困難な空き家を収益化できる

もう少し広げてみると、売却困難な空き家ということで一括りにされていたものが収益化できるので、新たな活用方法ができます。この取組をするところはまだまだ少ない(工夫やノウハウがいるため)ので、この手法をブルーオーシャンとして展開できるかもしれません。例えば、地元であればここならいけるという感覚が分かりますし、地域のためという名目で中古品やアウトレットをもしかしたら提供してもらえるかもしれません(改修とかは無理でも建具くらいは出すよなど)。

とはいえ前提として、今回はワンルームマンションですから、ワンルームへの入居者ニーズがあるような立地であるとか、住居のスペックがあることが前提です。この点を踏まえると、都心など例えば政令指定都市や人口100万人以上などのエリアにおいて、わりと駅近であり、上記のような課題を抱えているものならいけるといえそうです。これに該当するものがどこまで市場としてあるか、情報を得られるかどうかとなりそうですね。

おわりに

全国でこういった空き家活用モデル事業が色々とあるわけですが、売却困難なものに果敢にチャレンジしているところで大変勉強になりました。空き家をリフォームして収益をあげたい、ただ空き家自体が色々と課題を抱えている場合に参考にしてみてはどうでしょうか。

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レポート内容は、

1.建物の主たる利用別用途図(P.2-3)

2.建築中および5年以内に新築・建て替えられた建物(P.4-5)

3.既存および建築中ホテル(P.6-7)

4.所有権の異動(売買および相続)(P.8-9)

5.投資法人が所有する建物(P.10)

6.名古屋市中心部の状況(P.11)

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