福岡県が県内版空き家バンクを作ろうとしている

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今年に入って福岡県で自治体空き家バンクを束ねたシステムを作るというニュースがありました。都道府県自体が手がけるものは既にあるかもしれませんが、九州では初ということで調べてみました。ソースは、空き家情報を一元化 福岡県が市町村の物件ネット集約へ 利便性高め中古市場を活性からです。

福岡県が空き家バンクを統合するのは?

全国版が出来ているのでこの意義は薄くなりつつあると思いますが、市町村毎に見なくていい、検索利便性を高めるということが狙いです。全国版と同様ですね。つまり、福岡県版を作り、それらは福岡県内の自治体の空き家バンクを統合することになります。

全国版があるから不要といえば終わりなのですが、今年2018年度に予算計上し作成していくかというところのようです。

福岡県内の空き家数は約4万?

空き家数のデータの数値が気になりました。空き家の数は大きく2つしかデータ元がありません。1つは、総務省の住宅・土地統計調査です。これは5年毎であり、2013年が最新のデータとなります。

もう1つは、自治体などが独自に実態調査を行うケースですが、これはあまり数はない印象です。とくに都市圏では行われない印象で、また実態調査においての目的は、特定空き家の検出というのが大きく、使える空き家を活用する空き家バンクに登録してもらう流れとは異なる印象です。

さて、同記事では、福岡県内の空き家は2017年3月末時点で約3万9700と書かれているのですが、これらの数字を確認することが出来ませんでした。2013年の住宅・土地統計調査においては、福岡県のデータを抜き出すと、

総数 2,492,700

空き家 316,800

賃貸用の住宅 181,200

売却用の住宅 12,200

その他の住宅 116,700

となっています。ソースとしては、統計名 住宅・土地統計調査 平成25年住宅・土地統計調査 確報集計 表番号 1-1 表題 居住世帯の有無(9区分)別住宅数―全国,大都市圏,距離帯,都市圏,都道府県,市部,21大都市,人口集中地区からです。

いわゆる空き家問題はここでいう約32万でなく、その他の住宅12万を指すのが妥当です。賃貸や売却のために空いている約20万件は、貸し手や売り手を探すために空いているという合理的な理由があるからです。

では約12万となると、約4万とは大分乖離があります。

福岡県の資料では、空き家バンクの豆ガイド(平成28年3月) [PDFファイル/2.93MB]があり、ここが少しは参考になるかなと思って見てみました。ただ、空き家数などは当然ないため、「はじめに」にあるように、住宅・土地統計調査のデータを引用しているので上の通りです。

現時点で、ソースの記事中にあった福岡県内の空き家数が4万、また利用可能な物件が3万1千というのは不明です。さらに、379件という新規登録物件が空き家バンクなのか何かが不明です。

福岡県の空き家バンクの登録数

空き家バンクの豆ガイドには、平成27年度の新規登録件数だと思われますが、空き家バンク件数が書かれています。これが、平成27年度で234件でした。また成約数は115件なので、約半分の成約率です。カンの良い方は、以前紹介したうるるの空き家バンク調査を思い出されるのではないでしょうか。空き家バンクの成約率は、ほぼ5割でした(全国版空き家バンクの半年間成約数はどの程度有効化を検討してみた

上記の379件はこれとも少しずれているので、例えば平成28年度や平成29年度の最新実績であれば、それくらいの数字になるかもしれませんね。憶測でしかありません。

ちなみに、1%という数値もありましたが、これ自体は、例えば、福岡県は32万の空き家に対して、234件なら0.07%であり、その他の空き家12万に対してであれば、0.20%となり、これらは1%に満たないのは現状とは言えそうです。

あまり意味はないですが、さらに、LIFULL版の全国空き家バンクで福岡県の登録数は、114件でした。平成27年度の成約数に近い数字ですが、単純に自治体数が15程度と少なく、確か30自治体程度は空き家バンクがあるはずなので、2倍すると概ね空き家バンク登録数になるはずですね。最も全国版に掲載するのかどうかは自治体に委ねられるために、ほとんど登録数がないところはそもそも掲載しないという判断もありそうですね。

民間サイトでの空き家バンク情報掲載

これは、空き家バンクの豆ガイドのP.17にかかれており、福岡県宅地建物取引業協会ふれんずという賃貸サイトで掲載されるようです。ここに書かれているのが面白く、一般の不動産物件と同じ条件で空き家バンクが検索可能(空き家バンクのみでなく)とあるところです。

これは一般物件と交じるので、一見良さそうなのですが、よく考えると「空き家バンクに載る物件が市場性があるのかどうか」というところでいえば、その点がないからこそ、不動産事業者は取り扱わないという点があります。その点と矛盾します。比較をされたら、つまり一般に探すようにすればほぼ「空き家バンク物件」が出てくることはないのではないか?という点が気になりました。

全国版空き家バンクは既にデータがあるのでどちらかといえば、どう魅せ方の工夫を出来るかという点で考えているわけで、この福岡県の視点は、民間サイトに混ぜればいけるというのはちょっと早計ではないかなと感じました。

同資料では、自治体の空き家バンクの専従職員の有無もありますが、ざっと見る限りまず職員がいないと登録件数を上げたり、成約数をあげることが無理というのが伝わってきますね。

現時点では、福岡県が福岡県版空き家バンクをやる意義は相当薄いと考えられます。

おわりに

福岡県の空き家数がどうなんだという視点で調べてみました。結果的には大分ずれがあり、現時点では福岡県の空き家数はその他の空き家であれば12万が妥当というかそれしかデータが見つかりませんでした。また、空き家バンクの登録数はこれと比較すれば、1%には明らかに満たないのは確かでした。

今後の空き家バンク登録数が上がるという自治体の展望があるようですが、下がることはないけれど、そもそも空き家バンクでマッチングしていくポテンシャルがなければ増えるのだろうかという見方です。また増えても1%未満の話ですとほとんど社会に影響を与えないかもしれないという点があります(一方で1件でも特定空き家があれば影響が大きすぎるので影響力の考え方が難しいですね)。

今回は以上です。

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