直接空き家等が売買できる「家いちば」を調べてみた

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以前、家いちばというサービスを紹介しました。最近はWebなどメディアの取材記事も多いようで、本サイトには珍しくこちらの記事「家いちばで要らない家を売る。欲しい空き家を買う。」はバズったといえそうです。現時点では15,000回見られたとなっています。もっともこの記事自体は何か独自の視点があったかというとそれはなく、単に「家いちば」で検索された方が見ただけとなります。

そこで今回はもう少し踏み込んで、公開情報から色々と調べてみました。

家いちばのデータを読み解く

先回書いた家いちば記事は2017年1月ですので1年前の記事です。

基本的なところから攻めてみましょう。まず、家いちばの運営会社は株式会社エアリーフローで、2011年5月設立となっています。不動産コンサルティング業を中心に、家いちばと家修繕ドットコムのサイト運営も手がけています。ちなみに家修繕ドットコムは、自宅などの小さな修繕を相談して適切な専門家を紹介してもらえるというマッチングサービスとなっているようです。

不動産屋が扱わない「空き家」が売れるワケによると、家いちばは2015年立ち上げで、現在まで3年程度経っていると考えられます。同記事では、平均成約件数は月5,6件とのことです。

掲載物件数は174件

実際にどれくらいの件数が登録されているか調べてみました。2018年3月26日時点です。カッコは掲載終了分です。

  • 北海道 6(2)
  • 東北 17(9)
  • 関東 41(20)
  • 甲信越 36(13)
  • 北陸 6(3)
  • 東海 14(7)
  • 近畿 21(11)
  • 中国 11(4)
  • 四国 5(3)
  • 九州 17(9)

となりました。全体掲載数は174で、掲載終了分は81件となります。掲載終了分が削除されたり非公開になっているかもしれませんがそのあたりの仕様は不明です。物件数と書いていますが、実際には土地だけのものもあったりするのでそのあたりは参考ということで。

SUUMO記事では平均5,6件とありますが、仮に2015年、2016年、2017年の3年間で掲載終了分が成約をしたという試算をしてみます。すると、年間27件です。もっと正確にいえば、Facebookページからは2015年の7月頃から運営開始で、SUUMOジャーナル記事掲載が同年12月ということで、初年度は半年程度と考えられます。つまり、正確には2.5年で、81件なので、年間32件程度のマッチングと考えられます。最近を過去半年から3ヶ月と考えれば、年32件は、月2-3件ペースで24-36件なので、そのペースがどんどん上がってきていると考えるのが妥当です。

メディアの露出が成功し、直近では月9件と成約数が上がっていますね。この数字自体は空き家バンクと比べると相当健闘というか比較するのもどうかと思いますが、月0.1-0.5件という数字からすると1会社の1サービスで約10倍のマッチングをしているため、この数字だけ見ても空き家問題の解消という意味で社会貢献を十分にしているといえます。ビジネスとしては低額かもしれませんが、ボランティアというわけではないですし、しっかりと成立している印象です。

あとは、サービスとしてリピートまたは口コミでグッドとなるかというところで、今後成長が期待出来るといえます。

なぜマッチングできるのか?

この手のマッチングサービスで成功要因の一つはマッチングできる物件数と登録者数です。実際に空き家物件を売買した人は一定数います。ただそれらの不動産物件自体は買う場が限られており、なかなか素人が手出しを出来ません。市場性があれば高く、また市場性がないという意味では競売物件などに手を出すかどうかというところです。

一方で投資目的で買うことがどこまでいけるかです。おそらく投資目的であっても、人柄や両者合意ならある程度いけるかもしれませんが、投資を別におすすめしているわけではないのと、やや不一致な感じも受けます。そのあたりは多種多様というところでしょうか。

物件数が数十程度であれば物件自体がないということになりますが、インターネットと同様に交通が発達した、ライフスタイルの多様化から、二拠点居住なども特殊なことでなくなりつつあります。そういう背景もあり、潜在的なニーズとインターネットがうまく結びついたといえそうです。

また空き家バンクと違いオーナーが直接投稿する、直接やり取りするという点もプラスに働きます。似たようなサイトに東京R不動産がありますが、こちらは市場性がある物件のように感じるため価格は1000万以上が大半です。似ているというのは、専属ライターが味のある文章を書くということで、温かみを感じるという点です。ただオーナーが書いているわけではないため、その点で異なってきます。提案型の仲介業で有名どころという印象です。

空き家バンクを民間で始めてみたい人や検討している事業者は多そうです。ただ家いちばのような視点が作れるかは難しいでしょう。しかも家いちば自体は全国の掲載をもってして、仮に月5件でも、販売価格自体は100万以下のものが多かったりするはずなので、最低料金の5万円程度となりますから、大きな売上ではありません。どちらかといえば、1件あたりの報酬は低くしてサポートをオプションで追加または適宜応じる形でしょうから、直接取引する際に良い形のサポートをすることで成り立つモデルと考えられます。このサービスの提供方法自体も、直接マッチングする消費者同士の心理とうまく寄り添っている印象を受けるので、違和感がありません。

他の空き家バンクサイトはどんなものがあるか

空き家バンク=行政の運営しているものというイメージが強いため、あえて掲げる必要がないかもしれませんが、出来る限り調べてみました。

ビギンズ 田舎暮らし物件の総合サイト

こちらのサイトは、田舎暮らしをテーマにした物件仲介サイトです。空き家バンクのコンテンツでは、全国で売買が69件掲載されていました。価格帯としては、1000万以下で57件と、8割程度なのでそのレンジの価格帯の中古物件が売買できるといっていいでしょう。空き家バンクコンテンツの定義といいますが、空き家バンクとして掲載されているのは自治体が掲載しているものや仲介会社やNPOなどが委託されて行っているものに限られそうです。ビギンズ自体はポータルサイトなので、空き家バンクに限らず中古物件などもあるため、コンテンツの入り口を間違えるとやや見づらいという感じです。

ぱらぱらと見ていくと、69件のうち成約されたものが4,5件ありました。ただこれらは空き家バンクサイトとリンクしているため、自治体の空き家バンクサイトを通して行われたかも分からないのと、自治体空き家バンクでの成約でもあるため、民間サービスといえるかというと微妙なところです。そういう意味で、ビギンズ自体は国交省のモデル事業ではないですが、独立した「全国版空き家バンク」といえそうです。

ただ単純に比較してしまうと、大手に軍配が上がってしまうため、違う点で特徴づけるしかありません。幸いにも当サイトは、田舎暮らしを掲げているため、その点をどう結びつけるか、味のある情報や見せ方を工夫するなどが考えられます。

他サイトもありそうですが、実際に空き家の売買という点では、目立ったサイトが見つかりませんでした。行政の空き家バンクは省き、また行政に近いような社団法人のものも省いています。今後増えるかは分かりませんが、情報を吸い上げ展開する仕組みや魅せ方やライフスタイルとしての訴求があれば十分行けるような気がします。

商い暮らし

他に空き家バンク的なサイトはそこまで多くないと感じます。例えば、この商い暮らしは店舗付き住宅を紹介しており、独自性を感じます。店舗付き住宅自体はそこまで市場があるとは思えなく、ニッチなところだと思います。都内を中心に紹介しているので、東京ユーザー以外だと利用は厳しい感じがします。逆に都内で商い暮らしをしたい人には味があり刺さるコンテンツとも言えそうですね。

おわりに

全国版空き家バンクが起爆剤となってということはないのでしょうが、「空き家」のマーケットをどう作っていくか。それぞれ取り組みが色々と出てきそうです。国交省の農地付き空き家ガイドブックは自治体の事例をまとめたりしたもので、制度自体が始まるということではないのですが、農地付き空き家という視点(農地×空き家で空き家単体の価値とは違う見せ方)になり面白いと感じます。

こういった多様であり、かゆいところに手が届くメディアやサービスが増えていくはずですので、今後も空き家マーケットは要注目となりそうです。今回は以上です。

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