投資型クラウドファンディングのクラウドリアリティのプロジェクトを調べてみた

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空き家町家などの再生において投資型クラウドファンディングが面白そうです。個人の資金を集めて社会を変える。クラウドリアルティが変えるまちへの関わり方をヒントにその可能性を考えていきます。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは不特定多数の人からお金を集めるという方式です。今回の投資型は今までありませんでしたので、多くは寄付型か購入型というものが多かったです。有名どころでは、CAMPFIREやREADY FORなどでしょう。どちらも国内のサービスです。

投資型クラウドファンディングとは

こちらも簡単に説明すれば、クラウドファンディングですので不特定多数からお金を集めるのは変わりませんが、今回のように町家等の建物再生やまたその賃貸事業に対して投資をするお金を集めて、リターンとして収益配当を期待するものです。

こういった仕組みは実は不動産の証券化などが同様な話だと思いますが、金額等が高い都心の駅ビルやオフィスビル等向けでありその制度や仕組みは少額投資においては使えなかったわけです。また、京町家などは築100年だったり、銀行融資という視点では建物価値ゼロなるので融資出来ないのが普通のようです。ですから、融資をしてもらって買うとかの通常の投資が出来ないということなんですね。

だからこそ注目を浴びる事例だといえます。

実際に運用されているプロジェクトを見る

実際に行われているプロジェクトを見ていってどういうものか調べていきましょう。国内プロジェクト自体は現時点で3件あり、全て開始されています。

京町家再生プロジェクトが第一号案件

同上記事にありました京町家再生プロジェクトは運用中となっています。プロジェクト概要では、京都の清水寺などがある東山区にあり立地がいいとあり、施設をまず取得して改修して宿泊施設として運営。その後3年後に売却し、同様の宿泊施設として運営してもらうというまさに「再生」が狙いとなっています。そのための物件再生資金をクラウドファンディングで集めるというのが狙いになります。

募集金額は7200万円で、一口5万円で最低3口出資から投資可能。想定利回りは10%となっており、15万円投資すれば、1.5万円×3年なので4.5万円のリターンが想定され、19.5万円くらいで返ってくるというものです。

クラウドリアリティは、この投資型クラウドファンディングを運営する会社で、同社は手数料として2%を得ます。7200万円の2%なので、144万円年間ということでしょう。

トマルバが運営する施設の事例が上がっていますが、平均宿泊単価が3.5万するので何だろうと思ったら本当に1泊この値段でした。かつ宿泊日数も3日を超え、宿泊出来る組数も限定されるところから、ゆったりという感じなのでしょう。こういった町家再生を得意とするトマルバが運営し、3年きっちりやって宿泊施設としていける形にした後に売却するというわけですね。売却先はどこかは不明ですが、宿泊施設を運用したい事業者などでしょうか。単に不動産投資家向けに売却されるのかは不明です。

投資スキームを見る

投資スキーム図を見ていきましょう。

期初は、出資者のお金をクラウドリアリティが集め、それをクラウドリアリティ子会社へ貸付、子会社はその借りたお金で町家オーナーから不動産を取得します。その後、リノベーションなど設計や工事をして改修。これでリノベーション物件として宿泊施設が出来ます。その後、運営会社ここではトマルバに委託して運営してもらいます。

期中は、トマルバから運営報告や収益をクラウドリアリティ子会社へ支払います。子会社は借りたお金をクラウドリアリティへ返済する形で支払います。そして出資者へ分配金が支払われます。

期末は、クラウドリアリティ子会社がリノベーションした本施設を買いたい人に売却します。それによって売却対価を得て、クラウドリアリティへ返済します。当然ここの金額が期初から期末にかけてトータルで出資額より下がっていればマイナスですし、増えていれば利回りが出て投資成功となります。最後には当然出資者に分配金もですが、出資金を返すということになります。

簡単な投資シミュレーションをしてみる

投資スキームを見て、推測に過ぎませんが、投資シミュレーションを考えてみると面白そうです。

このスキームでは、収益の上げ方は2つありそうです。1つは宿泊施設をプロに任せることで運営キャッシュを得て返済に当てていくこと。もう1つは3年後の物件売却益です。

仕入れとしてどれくらかかるか分かりませんが、町家建物自体は高くなくても、土地価格が一定あるわけで、仮に土地価格だけとした時、京都市東山区の平米単価は約34万円ですので、敷地面積45平米で単純に掛けると、約1530万円です。他の不動産取得税等もかかるわけですがここでは省きます。また仕入れた物件に対してリノベーションが必要です。この価格も不明ですが、坪50万すれば、750万程度です。仮に1000万円としておきましょう。つまり、投資としては約2500万程度はかかるといえそうです。

その後、3年間は宿泊施設の売上げを委託手数料を引いたものを得る形となります。トマルバに委託することで運営手数料がかかります。当然トマルバはその収益で経営しているわけですから必須です。物件的に同一の間取りだとすると、5組程度同時に泊まれると仮定。平均データ実績から考えると、宿泊客平均単価想定3.5万/日で、今回は最大5組で、かつ平均稼働率が8割とすると、1日4組程度埋まっているので、1日あたりあたり14万円で、1ヶ月あたり30日とすると、420万円の売上げとなります。

ホテル等の運営委託手数料は分かりませんが、例えば一般的に売上げの6%から15%というデータもあり、これを仮定して仮に10%とすると、42万円が月額の手数料となります。逆に月額収益が約380万円ほど入ることとなります。1年で、4560万円で、3年で1億3680万円となります。

出資者7200万円に対して想定1.33倍ということから、9576万円の返済(投資利益込み)となり、またクラウドリアリティの運用手数料は7200万円に対して2%ですから、年144万円×3年で432万円となり、これらで1億円程度です。そして当初物件+土地購入費とリノベーション費用で仮に2500万と見積もったので、これらを合わせると1億2500万円程度になり、差額は約1000万ちょっとになります。

このように上手くいくかはおいておいて、宿泊施設で人気で、京町家というところで宿泊単価をキープできるかというのがリスクになりそうです。なぜなら外国人観光客で人気だからホテルを作るのは誰でも考えることであり、ライバルも多いからです。当然外国人観光客が減るリスクがそこまでない、むしろ増えるからこそ出来るわけです。ただ当然、外国人観光客の減少や京都への訪問客数の減少、または京町家宿泊施設の増加による客単価下落、または単純に想定稼働率が8割から6割等への下落が考えられます。上では8割想定ですが、仮に6割程度になると、315万円となり、委託手数料は変わらないでしょうから42万円引くと、月商273万円となります。年であれば、約3276万円、3年で約9828万円となり、約3割減となってしまいます。このくらいになってしまうと、運用収益ではトントンにならず、売却益でどうかとなりますが、収益が上がってない物件だと魅力が減るためこのあたりも厳しくなりそうです。

仮に8割稼働等でうまくいくとした場合、運用収益でカバーしつつ、最終的に宿泊施設をいくらで売れるか。当初2500万で買ったものが1億円等で売れるかもしれませんし、そのあたりは分かりません。ただここまで考え来ると、出資者のメリットは町家再生に貢献しつつ利回り10%想定程度が得られるので良い。町家オーナーも売却出来て良い、施設運営者は施設運営手数料で稼げるし、クラウドリアリティもその収益で融資返済となるので良い、最後に売却利益で購入者は良い物件を買えて喜び、クラウドリアリティはその売却益で稼げて良いとなります。

実際にこれらは始まったばかりで今後どうなるか面白そうですね。また出資者は6割が投資経験がないというところから、当然投資は余裕資金での運用をすべきというところを念のため書いておきます。少なくとも3年後のシーンを明確に予測出来る人はいませんが、とはいえリスクとしてどこまでなら失ってもいいか(勉強代として面白かったなど)ということは考えるべきですね。

京都馬町町家が第二号案件

こちらも1号と同様で、同じ京都府東山区の町家再生となっています。出資総額が3200万円となり、1号の半額以下となり、かつ最低口数が1口5万で2口からとなっています。想定利回りが8%となっており、1号案件に比べ利回りが下がっています。1号と同様のスキームですが、利回り8%を超える部分の2割は成果報酬としてクラウドリアリティが得ると書かれていてこれは1号と異なる点に思えます。

推測に過ぎませんが、少し物件が小さいということと、実際に売却出来る金額がそこまで大きくできないことから1号よりも少なめというところになりそうです。とはいえ、こちらも100%出資が集まっており運用が開始されております。

第三号案件は渋谷区上原シェア保育園

最新のプロジェクトは、保育園ファンドとなり場所も東京渋谷になっています。金額も1億7千万と高額ですが、1口5万で2口から出資できます。保育施設とシェア施設は別の運営者が手がけ、また売却はシェア施設事業者に売却される予定ということが書かれています。

地下一階と1階が保育園で、2,3階がシェアハウス・ゲストハウスとなるようです。

投資スキームは今回は取得するのが土地(底地)のため少しことなります。今回は、クラウドリアリティ子会社が土地をオーナーから購入。その上で、正和学園(保育園運営事業者)に借地権として貸す。正和学園は土地を借りて保育園施設(建物)を施行。シェアハウス施設(mazel)は正和学園から2,3階部分を賃貸として借りるという形です。第一号や二号と大きく違うのはクラウドリアリティ子会社が全てやるのでないということですね。

また収益自体は、正和学園からの借地権に対する地代収入が期中のモデルです。シンプルで分かりやすいですね。正和学園は保育園施設を運営して収益を上げるため可能ということですし、また2,3階部分はmazelへ貸し出すことから賃料を得られるということになります。

期末では、賃料契約を正和学園にしていたmazelがクラウドリアリティ子会社から底地である土地を購入してもらうことで、土地売却益を得て、最終的にそれらで分配金と出資金返済ということになっています。

疑問として思ったのは、正和学園は保育園施設を立てていますし、地代も払っているけれど、保育園運用と賃料収入で3年で改修出来ると見込んだのでしょうか。普通に考えればアパート等でも1億円かけても20年であるとか一定の年数がかかりますし、売却であれば短期で出来るかもしれませんが、ちょっと早すぎると思います。というわけで、自然に考えると、クラウドリアリティ子会社が得ていた借地権に対する地代を、今度は土地所有者であるmazelが得る形となるのかなと。そして、mazelが買う場合は、保育園またはシェアハウス施設事業への融資を受けそれらを返済していくモデルになるのではないかと言えそうです。

つまり、こちらも底地一つあってそれを買って保育園事業をやれば待機児童がいるので成立するし、十分出来ると事業者が思っていても、融資等は出来ないと。でも、3年で保育園施設を作り運営し、そこで実績を作れば融資も受けられるという想定なのではないか。これは銀行が出来ない融資をクラウドリアリティが代わりに行うという形です。ですが最後の期末部分のやり取りがどう完了するか、またその後どうなるかはそこまで見えていません。

とはいえ投資ということを考えると、mazelが買わなくても収益事業を行いたい事業者向けに売買していくことを想定しているかもしれませんね。

この投資型クラウドファンディングは新しい形

不動産特定共同事業者というモデルとは異なるようです。不動産特定共同事業者において改正がされたものの、例えばクラウドファンディングでインターネットで書面交付が可能であるけれど、書面で記名押印等は必要とあり、その点を円滑とするため新しい形として試しているとQ&Aにかかれていました。

おわりに

今回は投資型クラウドファンディングという新しい形について見てみました。実際このスキームがどうなっていくか、例えば空き家再生において面白い再生となっていくとやり方として広がっていくことが期待されますし面白そうです。ただ当然ですが本記事で特に投資型クラウドファンディングを行えということを言っているわけでもなく、そういったやり方が出てきているという話です。

当然売却益で一定の利益が出ても、リスクから考えると投資型クラウドファンディングは儲かるビジネスということでなく、まちづくりなどに対して効果的にクラウドファンディングを使い活用していけるモデルを作っていく。そういうことを感じます。

リスクとして投資初心者等が介入出来る反面、介入者が多くなればトラブルが起きやすくなる可能性もあります。最終的には個人やまちづくりというところで資金が適切に使われ、まちが活気づくところを期待しているため、「クラウド」という不特定多数の個人の力を使うことは今の流れである一方、どうなっていくかはしっかりと個人が考えて判断していく必要があるなと感じました。

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名古屋の不動産市場を知る

日本ランドエンジニアリング株式会社では、数年に一度のペースで、名古屋中心部エリアの不動産状況を調べています。2017年度は変貌する名古屋5(2017年6月作成)を発行致しました。名古屋の不動産市場を見るデータとしてご活用頂ければ幸いです。

名古屋中心部エリアの調査レポートです。表紙、裏表紙込みで全体で12ページとなっています。配布ファイルはPDF(約2.5MB)で、データファイルはA3サイズですが、A4の縮小印刷でも可読可能です。

レポート内容は、

1.建物の主たる利用別用途図(P.2-3)

2.建築中および5年以内に新築・建て替えられた建物(P.4-5)

3.既存および建築中ホテル(P.6-7)

4.所有権の異動(売買および相続)(P.8-9)

5.投資法人が所有する建物(P.10)

6.名古屋市中心部の状況(P.11)

となっています。

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空き家の教科書では、「空き家」だけに注目するのでなく、「空き家」から派生する不動産市場についても注目し、それらの動向を考えることでより空き家の理解を深められる、次の一手や戦略が立てられるようになると考え、本資料を配布しております。

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