自治体で解決出来る空き家対応は既に限界

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毎日のようにどこかの市区町村で空き家解体があるとはいいませんが、続々と特定空き家指定の空き家が生まれています。しかし、特定空き家にしたから何か解決することはなく、自治体の対応が求められます。とはいえ、自治体だけに任せられるのかというともはやそうではありません。

自治体側の空き家対応はどこまでできるか?

北海道新聞の記事「危険空き家の解体開始 旭川市、初の行政代執行 費用の支払いはめど立たず」では、旭川市でも代執行を行って解体しているが、費用回収の目処が立たないというところです。これは他の自治体でかつ一定規模で地方などであれば同様の問題を抱えているといっていいでしょう。

木造2階建てなどの戸建として、50坪とすると、解体費用は坪あたり木造で3-4万円はするので、3万円としても150万程度はかかります。仮に自治体側が負担をすると、100件で1億5000万となり、多くの自治体で空き家に割ける予算は1000万以下(年度)ですから、まあ無理な話でしょう。やったとしても、解体補助費で数十万など上限を設けてかつ10件などの件数制限もあるかと思います。20万の補助が出る場合でも、100件は無理で、頑張って30件くらいでしょうか。これでも600万かかります。

つまり、根本的には自治体側が費用負担をするのでなく、最終手段ということでの代執行です。モラルハザードとして、自治体担当者は「所有者が放置すれば解体してもらえるという認識を生む」という危惧があるわけです。放置すればそもそも行政としてはNGですし、とはいえ最終手段が多くなればそもそも解体が出来ないし、したとしても費用を負担出来るか、そもそも所有者の責任は?というところで、非常にもどかしいことになっているのが現場でしょう。

特定空き家になる前、なった後でも代執行前に対応をしてもらう

最悪の代執行前までに自治体が出来ることはわりと限られます。

まず、特定空き家前の指導等で行政からお達しが出れば多くの人は改善活動に動くでしょう。さらに勧告などで特定空き家認定などとなると固定資産税免除が消えますが、それでも解体費用が捻出出来ない、または何かしら事情があれば放置するかもしれません。代執行をすることで、空き家所有者への啓蒙となりえるでしょうが一方で無視し続ける人には半ば諦めもあるかもしれません。

とはいえ立場上そんなことは言えませんから、所有者が分からない場合も相続人を逐一当たっていくわけですが、これもこれで非常に時間がかかります。ある種特措法とは、見える空き家対応をしたいがための制度であり整備だったわけですが、逆にいえば「見えなかったものも可視化されるため対応に追われる」ことになります。これがいいか悪いかという近視眼的な見方では困るわけです。なぜなら、そもそも空き家への対応をしていく必要があり、放置は出来ないから結局早く対応に着手するかどうかだけでしょう。

特定空き家自体が100件程度は都市規模に応じて普通にあるわけで、そこからどの程度放置して代執行レベルにいくかは実はそこまでひどい数字ではないと考えています。上の記事では道内で3例目であり、旭川市で3例目ではないですから、直観的には数%程度以下、つまり100件あって3件もあるかないかというところだと思います。とはいえ、100件のうち放置しておけば駄目なので改善や活用などを促していく姿勢を見せいていくしかなさそうです。

ただこれはそこまでひどくないだけであり、特定空き家レベルではない空き家などは普通にたくさんあるわけでその活用が最も求められるところになります。

自治体が出来るレベルはとっくに限界を迎えている

筆者が空き家担当者であれば相当胃が痛くなる状況ですが、困難な状況であっても希望を見ていかなくては社会の活力や自治体の今後、そして結果的に自分に返ってくるわけですから、逃げるわけにはいきません。一方で、自治体担当者が全てをやる時代でもないですし、またそういう状況ではないわけです。

空き家で街がスカスカ 郊外で進む「スポンジ化」現象では、スポンジ化についての話題ですが、これは結果論に過ぎないですが、過去の開発方法ややり方や制度がまずかったというのを悔やんでも仕方がないところです。社会とは政策実施者とそれを体感できる時差があるわけで、木を植えるように時間がかかりますし、すぐに見えるものではないからです。

民間の知恵という期待も、不動産仲介業者では空き家賃貸や空き家売買はまずやらないでしょうから、地元に根付く損得を抜いてボランタリーに出来る事業者の動きが期待されます。同様にNPOなどもボランティアから入りそこから事業を構築していくタフさが求められます。これらがまずいなと感じるのは、ボランティア精神などに依存というか、それらの善意待ちになりがちなところでしょう。

だからこそ国は特措法を作り、自治体はそれに則った形で空き家対応をしていますが、シンプルに「罰則があるから動く」空き家は一定対応出来たかもしれないですが、問題はそういう罰則が利かない空き家であり、放置してしまうというところにあります。とはいえそれらも踏まえて、自治体だけでなく、民間、NPO、そして地域の人を巻き込んで動くというのが月並みですが現状思うところです。

実際には空き家に対してビジネスや事業メリットがない場合誰が動くのか?人は経済的合理性だけで動いているわけではありません。社会や人のつながりなどで動く生き物です。自分の街が悲鳴を上げている時、放置すれば(知っているかどうかもありますが)やはり自分の住んでいる社会に返ってきます。

おわりに

今回は代執行を元に、自治体の対応から今後について簡単に書いてみました。

実務的に所有者不明の課題を解決したり、空き家活用事例がたくさん出てくるだろうというポジティブなものもありますが、空き家自体は増えるという予測やそもそも代執行で予算が耐えられるのか(耐えられない場合、例えばボランティアで市民が壊すなどもありえるでしょう)、というところが進んでいくことになります。

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