家の葬式や棟下式など。空き家の解体を面白くするアイデア

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あるアイデアコンペで家の葬式というプランをみました。面白いなと思って探したら、解体という部分にフォーカスをあてたアイデアが色々ありました。今回は、空き家の解体という視点のアイデアを考えてみます。

家の葬式は空き家について考える機会を生み出す

一般社団法人リノベーション住宅推進協議会が主催する第3回リノベーションアイデアコンペでは、課題が空き家問題を解決せよ!というものでした。2013年に開催されたものです。

その中で、視点特別賞受賞の家の葬式というプランがありました。ランドブレイン株式会社の生山さんら4名のチームでのプランだと考えられます。内容はシンプルで、とくに葬式という視点では、通夜→告別式→葬送など「家」が葬式のごとくおくるということです。

これによって、何が起こるかというと、空き家所有者が参加すると、所有物件の意識が高まる(あ、ちゃんとしないとなあなど)。家の葬式があるからそろそろ話してあっておくかということになります。また葬式を機会に話し合いが生まれて地域で話し合っていこうという流れが生まれるというものです。

こういうソフト的なアイデアは面白いという一方、じゃあ実現化をどこまでするんだ?というツッコミが入りやすいです。とはいえ、現在はアイデアがない状態なので、こういったアイデアがあった段階でまずは良いと受け入れ、そこからという感じもします。

空き家の課題の3つ解決できる

私が秀逸だと思ったのは、これらは色々な「空き家の課題」を解決できそうだと感じました。

例えば、「空き家」と呼ばれるのに抵抗があったり、地域や近隣、コミュニティで「売買、賃貸、解体」などをすると「色々言われる」などです。例えば売ることになれば「あの家は落ちぶれた」といわれ、「賃貸すれば、そんなにお金がほしいのか!」といわれ、「解体すれば、家を守るのが仕事なのに」という感じで、実際には「良くわからない」言われなのですが、それが通用してしまうのでしょう。

もう1つは、思い出との決着です。空き家に限らず、自分が思い入れがあるものを捨てるのは大変です。その話を聞いてスッキリすると意外に別れられるものです。そういったプロセスをきちんと踏むことで「きちんと別れられる」わけですね。

これらの近隣での物言い(言われ)の雰囲気を変え、一種のお祭りのような賑わい方で別れ、思い出もきちんと向き合っていく。これで上の課題は解決できそうだと感じました。

また解体費自体も解体自体をDIYしていけば安くすむのと、そういった壊すことを楽しむ視点は実はわりとあったりします。最近では、空き家解体 自己処理で安く 富山国際大川本教授検証 費用6分の1にという取り組みがありました。単にストレス解消で壊すというのは大いにありだと思いますし、色々な人が関われるきっかけになりそうです。

廃材や解体材の一部を思い出のアイテムにしたりというところから色々と物語や展開はできそうです。

この家の葬式から思い出したのは、離婚式です。結婚式の逆ですね。逆転の発想から物事が生まれる秀逸なアイデアだと感じました。

廃材の記憶をつむぐ scrapstudio

同年のプランで視点特別賞の2つ目でもありますが、廃材の記憶をつむぐ ~解体リノベーション~が近いと感じました。このプランは、解体で生まれた廃材から、廃材自体、または廃材加工品などを収益としていくというものです。

実際にサイトがあると資料には書かれていますが、探してみたところサイトはなく、おそらく閉じてしまったのでしょう。

廃材利用は直感的に多くの人が思いつくアイデアですが、それらを廃材として加工する技術、そういった卸や買い取りをしてくれる会社や団体、そもそも廃材をメインにすると一定量を求められるのでビジネス化しづらいというのが考えられます。多分、バラバラで集めても商売にしづらいんでしょう。

棟下式という視点

2017年では同協議会のアイデアコンペは映像が対象となっていました。リノベーションビデオクリップコンテストとして継続されているようです。

その中で、2017年の受賞作品発表では、最優秀賞が、棟下式(むねおろしき)です。棟上げの逆で、建物が解体される前というのをビジュアルで表現しています。これらは実際に行われたイベントを映像化したものです。

2017年4月頃にこのイベントは行われ、盛況で終わったようです。仕掛けたのは、分譲住宅を企画販売するポラスグループの中央グリーン開発株式会社です。

棟下式で建物にさようなら。建物解体直前のイベントに多くの人が参加取り壊しの儀式に700人 「建物のお別れ会」が描く終わりと始まり業界初「棟下式」「お宝発見ツアー」大賑わい700名超 ポラス 開発予定地でイベントなど、色々な取材記事があり詳細が分かりますので見てみてください。

これが成功したのは、研修施設という性質上色々な美品がそこそこよくあり(しかし、リユース業者に出しても売れなかった)、人々が知っているグラウンドに立地し(しかし建物の中に入った人は少ないはずで、何かあるという程度か)、それらを分譲会社が企画して、お祭りのようにやったことが成功につながったと言えそうです。

一方でこれらを文化として、継続していくにはあえて同社が全国で仕掛けるのは現実的ではないでしょう。現実的には、解体して新築分譲を作るという仕事の中で、何か良いアイデアはないだろうかという担当者の悩みが直結しているからです。悪く言えば、イベントが終わるだけでなかなか次へは難しいはずです。

となると現実的には、空き家などのムードを変えていくという意味でまずはソフト的なアイデアが「解体」にあてられ、そこから廃材やプロダクト開発、流通や実際に地域にどう波及するか、そういったものを考えていく必要があります。つまり、同アイデアを波及していくモデルみたいなものが各地で起こる必要があるということです。

そういう意味でも、棟下式は秀逸なアイデアで最初の突破口を形にしてくれたグッドアイデアだと思います。どんな大きなアイデアも最初の一歩からしか始まらないからですね。

おわりに

そういえば減量住宅というアイデアも昔見つけたことを思い出しました。空き家解体に「減量住宅」という切り口が面白いで紹介していますが、空き家を活用するということで、空き家をどんどん減らしていく活用というのは意外に盲点なのかもしれないと改めて思いました。

その上でこれらの解体視点をうまく形にしていければ、空き家問題が楽しく面白く解消できていくかもしれませんね。

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