川崎市の木造密集地域。空き家を取壊し防災空地として活用するアイデア

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神奈川県川崎市の取り組みが興味深かったので紹介します。こちらの木密地域に「防災空地」 延焼防ぎ 避難場所にも活用からです。

木造密集地域は建物を間引きする必要がある

一言でいえば、小見出し通りです。木造住宅密集地域に関しては、全国の自治体も意識をしているはずです。例えば糸魚川の大規模火災などは、木造住宅密集エリアだったからこそ多くの被害に繋がったといえるからです。そういった事故が起きた後は自治体は意識を高めるからです。

以前書いたと思いますが、名古屋市でも、木造住宅密集地域の改善という部分で例えば老朽化した木造住宅の除却に対して助成をしたり、幅員が狭い道路に面したセットバックを道路と一体で使う場合に出る整備助成などがあります。

関わる人の視点から見てみる

地域住民・町内会側

まず地域住民の視点でいくと、築50年でかつ10年以上空き家というボロボロだった木造アパートは火災の種になりやすく不安だったといえそうです。また近隣などはそれがあることで環境悪化とも言えますから手入れをして欲しいわけです。さらに、町内会が防災空地の運営を担うということなので、運営をどうしていくかは今後の課題としても、火災の延焼を抑える、また避難場所にもなるというところがメリットだと考えられます。かまどにもなるベンチ(おそらく空き地手前右のベンチ)も面白いアイデアですね。

自治体(川崎市)の側

自治体側は市民の要望に応えることになります。当然まちづくりとして防災意識を高めることになりますし、万一の安全面の配慮となります。よくあると思いますが、市へのクレームを入れたからすぐに空き家が解体されるわけではありません。空き家自体は所有者の私物ですから、指示・指導などが行われ然るべき手続きがあります。とはいえ、その所有者が応じなかったら?というのが昨今の空き家問題の肝といえるわけです(当然、空き家所有者も色々な事情があるわけで、そこは慮りつつですね)。

自治体のメリットは、防災力が高まるとか、まちづくりとして近隣住民の生活度が上がる(もとに戻る?)という感じでしょうか。また、114平方メートルの土地を除却助成+税金免除はありますが、10年間無償で借りられるので、そこを町内会に運営してもらうという仕組みづくりが出来ます。

所有者側(空き家オーナー)

所有者は取り壊し費用を補助してもらい、空き地=土地の固定資産税と都市計画税を免除してもらえます。もちろんその代わり、10年間無償での提供なので税負担もないが、土地活用といわれる収益は一切ないわけです。

おそらくここからいえるのは、所有者は取壊し費用が負担だったと考えられます。また、空き家管理をしたくても出来なかったでしょうから(管理というよりも除却というイメージ)、その手間が省けたのは大きなメリットと考えられます。税金自体は年間10万円程度というところですがこれも負担にならずにすみます。

空き家化かつ老朽化してどうしようもないというケースは結構あると思うので、とくに土地資産を活用するとか「欲」はないから、なんとかしてほしいという考え方でないとこういった対応は出来ませんよね。

以上3者と仮に想定した場合に考えられることでした。

自治体の空き家対策としてはグッド

川崎市自体は費用負担をし、かつ固定資産税など貴重な財源を無償化しています。それだけを見るのではなく、ではこのエリアの防災を高めるにはどうしたらいいか。地域で担うというところ、町内会が中心になっていくというところを踏まえつつ、新しく建物を建てて何かするとか、壊せば空き地でいいということでもなく、使い方を防災というところではありますが住民に委ねたとも言えます。

そういう意味では、行政がやる範囲でもある空き家所有者とのコミュニケーション、除却、免税などをし、その後の運用は近隣住民+町内会という地元住民が行うということはグッドなのではないかと感じました。もちろん町内会加入率低下や高齢化自体はどこの問題でもあります。

空き地として整備されているので、屋外フリーマーケットであったり、お祭りの簡単な練習、公園的な使い方もありかもしれません。これらはアイデア次第と言えそうです。

一方で、課題としては、いわゆるフリーライド的(ただのり)な話です。今回の所有者がどうということではなく、これが事例として実績になると、他の所有者も「放置しておけば自治体がやってくれる」ということにもなりえます。必ずそうということではないですし、自治体の予算も限りがあるので、「ただ除却するための助成」よりも、「運営の方針や活用が見える」点でプラスとも言えるからです。

あと10年間のその後は、どうするかというのがあります。11年目は市への納税、町内会は続けていられるかなど、防災空地のメンテナンスもあるでしょうし、未来は分かりませんが、10年後どうなっているかは気になるところです。

おわりに

空き家を除却してまちづくりに活用するということは、一つ一つは小さなことですがこういう蓄積がまちづくりに大きな影響になっていくのではないかと考えています。

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2.建築中および5年以内に新築・建て替えられた建物(P.4-5)

3.既存および建築中ホテル(P.6-7)

4.所有権の異動(売買および相続)(P.8-9)

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6.名古屋市中心部の状況(P.11)

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