LIFULL HOME’S空き家バンクとアットホーム空き家バンク開始半年後の状況を調べてみた

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以前調べた全国版空き家バンクについて、LIFULLとアットホームの2社がそれぞれ運用しているものを調べました。前回は、2017年10月頃で、5,6ヶ月経過しています。近況について再度調べてみました。

LIFULL HOME’S 空き家バンクの変化

2017年10月と、現在2018年3月の比較ということで調べていきたいと思います。前回記事は、全国版空き家バンクLIFULL HOME’Sがベータ版を開始していたので調べてみたですが、こちらと比較する形です。

基本的なサイトの見た目は変わらないようです。ただ一つ気づいたのは、サイト中央あたりで「農ある暮らし」「空き家で小商い」というコンテンツへのリンクがあります。おそらくこういったものが、民間視点での「利用者ニーズに沿った」検索の仕方なんだと考えられます。

参加自治体数は、約444自治体と半年前から約63倍の増加

  • 北海道・東北エリア 北海道27、青森5、岩手12、宮城2、秋田9、山形12、福島19となり、エリア計86自治体。
  • 関東エリア 茨城5、栃木15、群馬3、さいたま8、千葉16、東京4、神奈川8となり、エリア計59自治体。
  • 北陸・甲信越エリア 新潟15、富山13、石川9、福井8、山梨10、長野14となり、エリア計69自治体。
  • 東海エリア 岐阜10、静岡5、愛知12、三重7となり、エリア計34自治体。
  • 近畿エリア 滋賀9、京都7、大阪11、兵庫23、奈良11、和歌山7となり、エリア計68自治体。
  • 中国・四国エリア 鳥取2、島根6、岡山8、広島4、山口3、徳島11、香川5、愛媛9、高知4となり、エリア計52自治体。
  • 九州・沖縄エリア 福岡14、佐賀12、長崎13、熊本10、大分11、宮崎3、鹿児島12、沖縄1となり、エリア計76自治体。

全国合計としては、444自治体となっていました。前回は7自治体しかなかったので、1700自治体からすれば、約26%の割合で登録されていることとなり、概ねそこそこ使われているというところでしょうか。

詳細コンテンツとしては、物件・土地ページで、地盤・防災関連マップが増えた気がします。これはありがたいですね。

既に課題というか使いづらい点としては、物件名が自治体毎に独自でありキャッチなタイトル付けがされていません。これによって、魅力的に見えないとか検索(リストを目で見ていくということ)するときに、引っ掛かりが少ないのは微妙ですね。そして、たまたまなのでしょうが、担当窓口リンクをクリックしたらページが見つかりませんでした。

物件登録数は、約30から約2000件へと約64倍へ増加

物件登録数はどうでしょうか。前回は7自治体だったため、件数としては30件程度の登録しかありませんでした。ちなみに、地域から探すと地図から探すの違いは、地図は「GoogleMap」から見てポイントがあるところというようです。物件で出てくるものが少ないため、地図から探すはほとんど使えません。物件住所が正確に表示できないためポイントを落とせないのかそのあたりの仕様は不明です。

全体を一発で見ることはできませんが、参加自治体と同様エリア毎に件数が表示されます。なお、空き家物件と表示されていますが、売買土地も含まれています。

  • 北海道・東北エリア 276件
  • 関東エリア 205件
  • 北陸・甲信越エリア 119件
  • 東海エリア 180件
  • 近畿エリア 335件
  • 中国・四国エリア 278件
  • 九州・沖縄エリア 541件

全国合計として、1934件となりました。参加自治体にあっても例えば愛知県犬山市はまだ登録が0件となっていて、参加自治体=登録物件があるわけではないという点も注意が必要です。それを省くのは流石に手間なので無視するとして、444自治体参加しており1934件の空き家空き地登録があるということから、1自治体あたりの平均登録数は4.3件となりました。

この数字は、自治体の空き家バンクはもう少し登録があるので、やはり外部に出す(自治体サイト外)人が少ないのかもしれませんね。以前紹介したうるるの空き家バンクレポートの記事うるるの空き家バンク運営実態調査レポートが面白いでは、空き家バンクの月間平均登録数は0.9件という数字で、実に月に1件あるかないかです。空き家バンクの平均登録件数自体はデータはありませんが、成約率が月間で0.1から0.5件というところから、年間でいえば、10件程度は登録されて、1件そこから成約するかという率です。このマッチング数と率は、業としては行えるものではない(例えば空き家土地込みで500万円が1年で1個売買があって、手数料は22万程度です。)ので、不動産事業者も進んでやらないのは当然と言えます。

これはLIFULLが空き家バンクをやる意味としては、LIFULL側に手数料が入るわけではないので、あくまで行政自治体支援であるとか、空き家バンク利用ユーザーに向けたマーケティングとして捉えるのが適切だと言えます。

アットホーム空き家・空き地バンクの状況

続いて、アットホームの空き家バンクについて調べてみます。こちらも農地付き店舗付き住宅のコンテンツが出ていますがこちらも3/22と最近です。

またアットホームもLIFULL同様に、前回調べた記事全国版空き家バンク アットホーム(at home)が運営を開始していたがありますのでそれと比較してみます。

登録自治体数は173と、半年で18自治体から約10倍へ増加

最新情報で2018/3/23付で173自治体とありました。これを自治体の参加数としてみなします。前回は約18自治体だったので、約10倍の増加となりました。

登録物件数は、約643件で半年で約17倍へ増加

登録物件数は前回調べてなかったのですが、ざっくり自治体数の3倍程度として36件と仮定します。今回は、フリーワード検索からダミーワードを入れてそこからフリーワードを削除すると、全体件数らしきものを取得できました。その数値は643件で、自治体数からすると正しい感じがします。

フリーワード検索の一覧は一般の物件検索に近いため親近感がわきます。ただ情報がやはり少ないのでここから買う段階へいけるのかは分かりません。

1自治体あたりの平均登録数は約3.7です。LIFULLが4.3件ですから、自治体毎の登録数はそこまで変わらないかもしれません。

LIFULLとアットホームの比較

両者を比較すると、現時点で半年経ったわけですが、自治体数は、444と173で、2倍以上の開きがあります。また登録物件数では2000と643で3倍以上となっていて、LIFULLが優位という気がします。

そしてそれぞれのサイトへの価値として検索性などは正直そこまで変わらないので、あとはユーザーとしてどちらも同じデータがないのか?などのチェックが手間になり、二度手間問題が発生するのかなと感じます。

このあたり両者がどういう戦略を立ててくるかが注目ですね。物件を買いたいユーザー視点では、LIFULLが豊富にある、アットホームもあるから見るという感じになりそうです。

全国版空き家バンクの価値とはなんだろうか?

そもそも全国版空き家バンクとは、自治体ごとにある空き家バンクが検索性に乏しく、見る側も手間であり、誰にとっても不幸というところでした。一方で、全国版であれば検索や見やすさはテンプレートで統一され分かりやすくなります。

自治体側としてはマッチング確率が増える、露出が増えるということが恩恵なのですが、そこまで増えるのか?というところがポイントになります。最も自治体視点ではリスクを犯してみたいな視点はないため、あえて冒険やチャレンジをしてマッチングを増やすという冒険行動は期待できません。利用者側からすれば、便利なサイトが出来たという程度かもしれません。空き家を売りたいオーナー側からすると、市場性が薄いものである時、その人の想いが大事となるため、面倒だけど「行政に」かもしれないですし、「市場性がないからこそ行政」だったかもしれません。

しかし、売れないものは売れないのが世の常です。だからこそ、家いちばのような仲介サービスが出てきてるとも言えます。家いちば自治体は、非常に仕組みは古典的な売買サービスですが、この手のサービスが成功するかどうかは露出がされること、あとは実際のサービスがどうかとなります。多くの小さなサービスでは登録物件や参加者が少なくマーケットが出来ないからです。単純に自分がオーナーであれば、家いちばのほうが見込みがあるのでかけてみようかなと思ったりします。

空き家情報を縦断して検索出来る。この発想は実はカーリルなどの図書館検索APIなどのほうが筋が良いと感じます。ただ図書館のように登録データを連携するようなものがないでしょうから、その点がネックです。空き家バンク担当者の業務レベルでどういうシステムまたはWebサイトの更新をしているかによりけりですが、それらを民間の知恵でAPI等で一本でつなぐほうが効率的な感じがします。ただこの場合でも売主が公開を望まないというケースですね。このあたりは技術というよりも、人の意識ややり方の話なので簡単に変わることはなさそうです。

全国版空き家バンクは課題を解決するか?

改めてこちらの国交省資料を見て振り返ってみました。空き家・空き地等の流通の活性化の推進がまさに今回の空き家バンクの狙いなわけです。将来が何年後かなどのシビアな数字は書かれていませんが、少なくとも自治体の多くが参加し物件登録をする。消費者であるユーザーが簡単に見えてそこで情報を探せる。ここで期待されるのは多様なニーズに対応するサービスとして洗練されることです。

実際に項目が標準化されて見やすくなり、全国物件が見えること、最後の消費者ニーズとは農地付き物件などが一例ですが、これらは確かに出来そうです。しかし、実際のマッチングが増えるかは疑問です。例えばアットホームとLIFULLでは個人的にはLIFULLの画面デザインが見やすいです。ただ機能として一般の物件サイトではある検討リストなどの機能が見当たらない気がします。アットホームはあります。そのような「一般的なサービスを空き家バンクという行政サービスに付加」すれば、極当然ですが使いやすくなります。

ここまではオッケーなのですが、消費者が使いやすいと思うからマッチングが増えるかと関係があるかです。例えば、標準項目はオッケーですが、それ以外の情報が少ないということです。家いちばと比べるのがナンセンスではありますが、市場性のない物件とする場合、空き家バンクも家いちばも同様です。そこからの差別化として家いちばでは何度か不動産屋に話したけど断られたという物件が多いわけです。ただその市場性とは不動産屋さんがビジネスとしては出来ない物件であって、価値がないかというと話が違ってくる。その細かなピント合わせが価値となるわけです。

福井県福井市にある相続しましたが遠方に住んでいるため売ります、敷地内の山でシイタケ採れますという家いちばの物件は、なんだか温かみがあります。当然オーナーが直接書いていることもですが、想いのある人に譲りたいからですね。一方例えばLIFULLの空き家バンクの福井市エリアを見ると、なんとも情報が少なく味気がありません。同一物件ではないのであくまで雰囲気での比較です。

空き家バンクの物件はただでさえマッチング率が悪いからこそ、オーナーまたは関わる人が市場性にあるような標準的な情報を載せて売れるのか?ということです。当然これは逆で、標準化されると市場性がある物件に勝てないです。だからこそ差別化として、こんなエピソードがある、こんなオーナーが使っていたからこそ安心だ、そういう顔が見えるというところに重きを置くしかありません。家いちばがいいということでなく、少なくとも家いちばのようなアプローチをしなければ「売買マーケット」にならないのでは?ということです。

メルカリなどは簡単な投稿や手軽さで一気に市場を奪いました。しかし物件や土地などの不動産売買は売買する人も相当少なく、気軽に売買出来るものではないのが実際です。そのあたりのブレークスルーがどうなっていくか注目したいところです。

そして現時点での多様な消費者ニーズに全国版空き家バンクが応えているかは疑問で、かつ今の形では家いちばのような他のマッチングサービスが奮闘していくのかなと思います。そこから考えれば、既存の空き家バンクは国か大手に任せて、消費者のかゆいところに手が届くサービスを手がければチャンスは十分にあると感じます。それこそまさに丁寧なサービスを地味に作るという感覚でしょうか。

おわりに

全国版空き家バンクが運営開始され半年が経ちました。国交省に2018年1月時点での参加自治体数の資料がありましたがこちらは434自治体でした。この数値はLIFULLの登録数に近いと考えると、ひとまず自治体側はLIFULLかアットホームかどちらかに登録をして様子見をしていると考えられます。また、自治体は2者どちらも登録する義務があるわけではないですし、自治体の自由意志だとすればここからどんどん伸びるのか?も疑問です。

うるるのレポートでは、750自治体が空き家バンクがあるということなので、444自治体で空き家バンクがある自治体の半分程度は網羅していることになります。他にも地域版のモデル事業もあるようですが、こちらのほうが独自のやり方が出てきそうなのでより面白そうな気がしますが、ほとんと情報がないため、今後見ていく形になります。

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