北海道室蘭市の老朽空家等活用支援助成金を調べてみた

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北海道室蘭市の空き家助成の割合が9割ということで、非常に高い割合なのが気になりました。今回は、室蘭市のこの取組について調べてみます。ソースは、室蘭市が17年度助成金活用で空き家3件を解体からです。

室蘭市は老朽空家等活用支援助成金を新設

2017年度に作り、着手した件数は3件だったようです。特徴的なのは助成額で、上限150万円でなんと9割まで出ます。つまり、135万円が最大です。

この助成金の詳細は、室蘭市のサイトにある空家を活用してマイホームの夢応援します。最大で120万円助成します!にてあります。マイホームとありますが、気にせず下部にあります。

対象となる空き家

当然なんでも良いわけでなく、いわゆる特定空き家でかつ緊急性の高いものとなります。特定空き家等の認定は市が行うので、そのあたりが認定されてないと対象となりません。あとは、その空き家の取得が公売か無償で土地もあわせて取得した「空き家」の場合です。つまり、土地を借りて空き家だけ買うとかは駄目ということですね。

近隣ということで、対象空き家の直線距離で1km以内に住んでいないと駄目のようです。近隣の人が買うことを想定しているわけです。

解体後の利用方法は、10年間は営利使用は付加で、また住宅の再建築が出来ません。ということは、庭だったり、駐車場だったりという利用用途になるかもしれません。

危ない空き家を近隣住民が解体、譲り受け 室蘭市が開始では、室蘭市の今回の助成を利用した方は、隣家の壁が崩れて自宅壁も壊れるという被害があったそうですが、そのような状態をクリアできる(当たり前といえば当たり前ですが)のは良かったといえそうです。特殊例かどうはかおいておいて、ニコイチ化という視点はグッドな印象です。

特定空き家対策としては対症療法

同記事に約100件ある特定空き家ということで、確かに年に3件で上限最大で約400万が予算として必要で、それらは特定空き家のうち3%に過ぎません。緊急性の高いものがどれくらいあるかによりそうです。

室蘭市空家等対策計画によれば、空き家は2,578棟あり、安全なものは1,000棟で、残り1,578棟が対象となるとあります。危険度チェックから危険に該当するものは、約420程度あるようです。危険度の高い空き家=特定空き家となるかは実は異なっていて、あくまでこれらは「特定空き家候補」に過ぎません。行政上の理由というのが正しいかわかりませんが、特定空き家とすると最終的には断行して行政代執行まで行うという揺るぎない決断が必要だからです。

逆に言えば一つの木造空き家が特定空き家なら150万程度は見込みとしてかかるため、逆算すれば、特定空き家として代執行出来るのが数件(予算1000万円程度が限界)ですから、例えば現実的には老朽対策助成のような3件程度がほぼ現実的な数値です。

グラデーションや特定空き家危険度別に分かれていて、最も危険なものから着手されると考えてください。おそらくこの考え方が行政的な考え方のはずです。

これに対して「危険な空き家」がどれほどまずいか、つまり解体しなければいけないかというと、実はそこまで危険ではないということになります。ですから、特定空き家が100件のソースはないのですが、おそらく10件くらいはまずいものがあるのではないか。それを行政が3件はやったということで、当然所有者の責務が求めれられることになります。

対症療法とは行政批判ではなく、実際の対応をしないよりはいいけれどでは解決になるかというと厳しいだろうという見立てです。

同資料(P.13)では、空き家対策窓口で対応したものか、どのように上の危険空き家とリンクするかはわかりませんが、推測では、547件の相談があり、所有者と連絡が取れて何かしら対応ができそうなのが6割、検討や資金不足で対応が厳しいのが25%、残りの15%は反応なし、返送、不存在だったりするようです。つまり、25%である、135件が420程度ある危険空き家に含まれるとすると(多分その確率は高いです。なぜならこれは所有者通報でなく、近隣からのクレームだからですね)、危険空き家の3割程度が、危険空き家かもしれないと言えそうです。

ざっとまとめると、420件程度の危険な空き家があり、そのうち3割の135件は危険な空き家である。緊急性が高いものは、そこから一定件数あるものの、何件あるとは言えないというのが結論です。

何にせよ、所有者と連絡が取れたり対応してくれるものは良いとしても、行政は残りの未対応や対応されてないもの、つまり、4割に対して時間や税金を使うことになります。この割合多いと考えるか少ないと考えるかですが、非常に多いと感じます。

おわりに

室蘭市の想定以上だったと記事にありますが、実際に老朽空き家助成は、新たな所有者が負担をしても(解体費の1割、登記費用、固定資産税が別途かかる)、それでもなお解体するという方が多かったし、これからもおそらくあるだろうと言えます。

行政としても、放置されれば固定資産税が入らないはずで、適正な管理で近隣にもメリットがあり、所有者もメリットがあるため、少し負担をするけれどお互いにメリットがあるというのは興味深い制度だと感じました。このような負担の仕方が今後のスタンダードになっていくかもしれません。

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レポート内容は、

1.建物の主たる利用別用途図(P.2-3)

2.建築中および5年以内に新築・建て替えられた建物(P.4-5)

3.既存および建築中ホテル(P.6-7)

4.所有権の異動(売買および相続)(P.8-9)

5.投資法人が所有する建物(P.10)

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