平成27年度名古屋市政アンケート:空き家問題についてを調べてみた

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名古屋市では平成27年度第2回市政アンケートにて、空き家についての市民アンケートがされていました。今回は名古屋市民が空き家についてどう考えているか、アンケート調査から考えてみたいと思います。

調査概要

平成27年度第2回市政アンケート(調査結果)は、平成27年の9月頃の2週間、名古屋市民2000人を無作為抽出したアンケートとなります。回答数は約55%で、約1,100人の回答数となっています。質問数は34と結構ありますね。

調査テーマは3つあり、(1)名古屋の「緑」と「公園」について、(2)空き家について、(3)インターネットを活用した行政サービスについての3つです。今回は2の空き家についてに注目してみました。

平成27年9月ということは約1年半前くらいの話となるのでその点は注意が必要です。

空き家アンケート結果詳細

空き家についてのアンケート結果を一つずつ見ていきたいと思います。設問自体はこちらで意訳しています。

問13 空き家問題を知っているか?

よく知ってる人は約4割、聞いたことはある人が約5割で、多くの人が知っているといえそうです。空き家特措法が平成27年5月にできたので、3,4ヶ月でニュースなどで見たことがある人が多いのかなと考えられます。

問14 名古屋市の空き家条例、国の空き家特措法を知っているか?

知っているが8%、聞いたことはあるが内容は知らないが4割、知らないが4割。ということで、空き家が問題になっているということは知っていても、その条例や法律の内容まで知る人はいないということでしょうね。

問15 不適切管理空き家のイメージは?

3つ選ぶというものですが、約7割が建物東海、約6割が樹木伸び放題の2トップです。ごみ、樹木のはみだし、無施錠、落書き、害虫等は2割前後でした。これも「適正管理」というのがわりとイメージ通りかなというところが伺えます。

問16 身近に適正管理されてない空き家はあるか?

ない、わからないで約7割です。一方、ある+複数戸あるというかたは約2割。多分生活の中で見かけるところが確実にあるということでしょう。分からないという方は4割ですが、おそらくそもそも空き家だったり、適正管理されているかどうかという視点で見たりしていないので、分からないということだと思います。

問17 不適切空き家がある方向け。その空き家の状態は?

樹木が伸び放題が6割、倒壊が4割、樹木はみだしが3割。見た目のインパクトにもってかれますが、やはり雑草が伸び放題=管理されてないということになりますね。ちなみにこの回答者数は約300です。

問18 同上向け。空き家に対してどう行動した?

要は空き家を知っていて見かけて状態もわかる人がどうしたか?という趣旨ですね。何もしない方が7割です。町内会等地域の方に相談(まあ話に上がってくるということでしょうか)が13%でトップ。所有者の代わりに清掃などをしたが5%。行政機関(市、区役所、消防、警察)に相談が3%、空き家所有者に連絡もほぼ3%、専門家(弁護士、建築士)に相談が1%となっています。

ここはわりと面白いデータだと思います。何もしなかった+無回答の人を合わせると約78%。逆にいえば22%の人が何かしらアクションを取ったといえます。20%という数字が高いかどうか分かりませんが、主観的には高いと思いました。さらに1%のおそらく専門家が知り合いにいる人などはそういう専門家に相談されています。空き家問題自体がクレーム等から始まることも多いわけですが、そういう意味でわりと多くの人は関心がないものの、関心がある人は確実にアクションを取るということが伺えます。

問19 空き家を所有しているか?

所有者は7%。予備軍は3%。本ブログが対象としているのは、この合計である10%の方が対象となっているわけですね。本来であれば予備軍のほうが多いと思うのですが、おそらく認知されてないだけかなと思います。顕在的予備軍は少なく、顕在的予備軍は多いという結果になるかなというところです。

現在空き家なしで将来もないだろうが約78%ですが、おそらく親がマイホームを持つ方は多く、それらの相続から空き家所有者になることは必然です。この認知がされてないだけでしょう。わからない方は7%でした。

問20 所有者予備軍向け。どこに空き家があるか?

名古屋市内が44%、名古屋市外が53%、両方あるのが1%でした。回答者が1100人程度で、約10%が所有者+予備軍でしたので、この設問の回答者数は約100です。わかりやすい数字ですが、44人が市内に空き家を持っているか、持つ予定であり、53人が市外にある、または持つ予定ということでしょうね。前者は名古屋育で、後者は名古屋郊外育ちで今名古屋居住という方というところでしょうが、名古屋市は市内の空き家増加可能性を見たかったのかもしれませんね。

問21 空き家の所有きっかけは?

相続が66%です。つまり自己資産でなく、被相続人の資産だったということですね。入院等は13%、転居が11%、購入が5%です。これらは割合は変化しつつも、空き家調査等ではわりと定番の項目です。空き家所有は相続にあるということで、相続に対する知識や理解啓蒙はわりと盲点かもしれませんね。これは当たり前で相続する人、または予定の人しか予防的な視点になるので関心が起こりにくいわけです。あまり関心がない人に興味を喚起するほど大変なことはありません。

問22 空き家管理の課題は?

続けて所有者+予備軍向けです。定期的な換気や除草が手間がかかるが56%、交通費や修繕費などお金の負担が38%、近隣に気を使うが35%、売却や賃貸の相手がいないまたは分からないが34%となっていて、管理の手間もお金も、近隣配慮も賃貸売却等も大変であることが伺えます。

問23 所有者が適切管理をするには?

名古屋市がどうしたらいいかを問うています。所有者に対する指導罰則が54%、解体や修繕支援が47%、専門の相談窓口が42%、管理方法などの情報提供が30%、同じく管理方法などの促進の広報や啓発が30%となっています。

問24 空き家利用促進するには?

問23は管理についてですが、これは空き家を利用したり活用したりするという話ですね。空き家の利用活用に関しての相談窓口が43%、解体や修繕支援41%、空き家の利活用情報提供が40%、空き家バンクなどの空き家流通が36%、空き家の公共利用の支援が24%となっています。確かに行政がやれることというのはこれらのことに集約されます。

ただ空き家バンクが不要とはいいませんが、効率的かはかなり都市部では疑問ですね。そして、空き家利活用の情報提供は先進自治体といった形で先行する自治体の事例視察や成功例のチェックで終わることが多いですね。実際は成功例は誰でも参照できるのですがそれをどう形にしていくかは別問題です。相談窓口については行政の姿勢や課題感が問われそうです。例えば自治体の空き家または空き家管理について窓口があるかどうかなどはわかりやすい指標ですね。

空き家解体支援など、例えば解体費用助成はすでにあるわけですが、そういったものが解体を促進するか?というと分からないところです。おそらく支援というよりも、あったほうがいいけどというところです。例えば空き家管理の経済的負担が大きいと思う人が、解体にいけるかですが、そもそも投資の逆、つまり、リスク不動産を損切するというところから始まるので、ちょっと大変だなと思うわけです。しかし、不動産所有とはそういう責任というかリスクを持つことなので、ここは行政も「空き家は個人の所有物であり・・・」と言いたいのもわかるところです。

よって、行政がやれるのは、特定空き家、つまりボロボロでやばい物件のみの対応になりがちで、空き家という民間資産をどんどん活用するというアイデアはもっとも苦手でしょうから、ここが限界かもしれませんね。もちろんこれは行政をアテにするかどうかであって、うまくその部分を活用していけばいいということになります。

空き家所有者向けのニーズは?

本サイトもそうですが、空き家所有者向けであり、かつ空き家を将来的に持つであろう空き家予備軍の方向けで情報を提供しております。それらの方向けには上のアンケートからフォローやサポートすべきことが少しは見えてきますし、切実に手間やお金のコストが最も切迫しているところだと思います。

もちろん、我々がお金を出しますとか、お金をかけずに何か出来ますということが出来るわけではありません。現状をまず踏まえる情報確認、情報分析を通して、どう依頼者が考えるか、どういう管理や運用をしたいか、選択肢はあるかないか、そこから現時点でなく未来にどうありたいかを考えていくことに他なりません。

所有者の方向けに不安をあおりたいわけではありません。また予備軍の方へ向けても同様です。しかしポジティブな未来があるかというと、なかなか厳しそうだというのが大きな見解です。ただ厳しいだけでは我々の存在価値、またはこのサイトの価値も低いので、何かしら選択肢や情報、見方考え方を提示できないかという考えて書いております。

例えば、賃貸をしたいという空き家所有者の方がいても、その見つけ方が分からないという以上に単に不動産価値がないので不動産会社が受けてくれない→そこから進まないということは多くありそうです。そうなると、不動産価値を誰がどう決めるか、そもそも売れる不動産とは何か(逆に何があれば売れるのか)など考えることは非常に深くなってくるわけですね。

これらのニーズを丁寧に拾っていって何か我々に出来ることがないだろうか。そこが大きな一歩だと私は考えてます。

おわりに

今回は名古屋市の市民アンケート結果から空き家について、1年半前のデータではありますが、少し調べてみました。印象的だったのは、空き家を知っている人は2割程度は何から動くというところです。10人いて皆が動くのもどうかと思うのですが、課題意識が低い状態でも当事者に近い人であったり、または空き家が隣にあるとか、そういうケースがあるのかもしれません。10人いて1人くらいかなと思っていたので、意外に高い数字だと感じました。

もちろんこれらはあまり一般認知がされてない段階での「空き家」について知っていたり、または空き家というものの状態が分かるレベルで「見た」人であるので、正確にいえば回答数1,100からいえば、空き家を見つけた人が約300でそのうちの2割なので、60人。つまり回答者全体からみれば1,100の60なので、5%程度です。数字としてはこういう見方のほうがしっくり来ますね。

行政がやれることというのはわりと限られます。一方で市民が何でもできるわけではありません。以前書いた、空き家問題は行政自治体のまちづくりにおいて、市民協働のきっかけとならないだろうかで問題提起としましたが、こういう簡単に行政だけが、市民だけがで出来る課題でない社会問題の時、社会がどう動くかが問われている気がします。

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