名古屋市名東区主催「空家対策&利活用法セミナー」に参加したので、簡単なレポートをお届けします。

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名古屋市名東区役所で開催された「あなたの空家問題を考える 空家対策&利活用法セミナー」に参加してきました。主催は名東区役所と名古屋市市民経済局で、名古屋市では空家セミナー開催は初のようです。どんな話だったかを簡単にまとめてみたいと思います。

第一部「その空家、今のままで大丈夫?」 講師:田原裕之さん(弁護士)

第一部は弁護士ということで法の専門家からみた空家問題についての説明でした。田原さんは名古屋市空家等対策審議会会長を務められており、現場の意見があり非常に参考になりました。名古屋第一法律事務所所属の弁護士さんですね。

順にポイント等を踏まえて書いてきます。全文の書き起こしではないので、雰囲気をつかむ程度でお願いします。

空家問題とは?

空家問題は色々な「空家」があるので、今回第一部で話す部分が何かを明確にされていました。ここでは「危険な空家」という意味でいわゆる特定空家の話がメインということです。ざっくりいえば、都市部と農村部は違いますし、都市部でも商店街と住宅地は違うと。あと、ゴミ屋敷は空家問題でないというところもその通りですが、このあたり誤解される人も多そうですね。なお、ここで「ゴミ屋敷対策チーム」が発足したらしいので、そのあたりも調べてみたいと思います。

空家の現状

これは名古屋市にデータを絞っていますが、お馴染みの数字でもあります。平成25年では、名古屋市の住宅数は1,274,480戸で、空家は167,730で13.2%。賃貸用住宅が約12万戸、売却用住宅が1万戸というところから「その他空家」は3.2%となっています。仮にその他空家が1万戸なら、住宅数約127万なので、1%未満となり、しかもそれらの多くは特定空家ではないので、問題になりづらいということもいえそうです。要は空き家率=特定空き家率ではないというところは押さえておきたいところですね。

名古屋市はまた21大都市では11番目で、空き家率は瑞穂区、西区、中村区という順で高くなっています。ちなみに名東区は4番目です。

法律と名古屋市条例はどうなっている?

これについては、名古屋市では条例から始まり、現在の空家特措法という法律になっていったというところです。

危険な空家への対策はどう進められるか

名古屋市でも、市民からの相談問い合わせがあって、1,210件あったようです。平成27年度。これらは資料があるのでそちらを確認していきましょう。空家等対策の推進で、平成27年度空家等に関する対策の実施状況等があります。そのデータにありますが、調査1,116件をしたところ、特定空家になるであろうものは205件だった。うち対応して解消したのは69件で、継続つまりそのままなのは88件。平成26年度のデータもありますので参考になるかもしれません。

そして特定空家の対応は行政のプロセスでもありますが、空き家所有者の方も知っておいて損はありません。プロセスとしては、空き家所有者への助言と指導→勧告→措置命令→行政代執行という4つのプロセスになっています。

実家が空家になっている。どうしたらいいか?

田原さんの話では、実際には空家近隣からクレームが入る→市役所が受ける→所有者誰だ?→空き家所有者に連絡がいく→そこで気づく。ということが多いらしいです。確かに相続したことを知らないケースもあったりするので、こういった「気づかないうちに空き家所有者」となっていることは多そうです。

上の特定空家に認定されていく指導プロセスでは、「勧告」されると「空家の税優遇」が外れます。つまり、特定空き家になると固定資産税は6倍になり、都市計画税は3倍になるでも説明した通り、税の優遇措置がされなくなるので、勧告はまずいことになると思います。

ここからいえば、空家所有者が適切に管理していれば問題ないのですが、こういった特定空家になっても放置しておけばいいでしょということは、法的に通じないわけです。これこそ空き家がプライベートの問題ではないということを証明しているとも言えますね。

また他にも不動産譲渡所得税の優遇措置の話も。これは時限立法で期限があるので売れそうな方はお早めにということですね。このあたりはまた説明していきたいところです。

隣に空家がある。放置すると危険。さあ、どうする!?

結論的には所有者でないなら、行政に報告するとか専門家に相談くらいしかないようです。まあその通りですね。

空家未然防止、空家有効利用のために

これは国は法律を定めて、市区町村はそれに応じてやってくれという話ですね。

第二部「空家を負動産にしない具体的実例」 講師:上田真一さん

上田さんは「あなたの空家問題」という本を読んでいたので、実際の話は楽しみでした。簡単にいえば、視点はどちらかといえば所有者視点や現場視点から空家1つずつに個別具体的な例があるので、一概にこうすればいいよとはいえない。ということでした。とはいえ、その中でも実際に手がけた例や実践例を紹介されており、非常に参考になりました。

当然ですが、紹介されたようにすればいいとかそういうことでなく、どうしたいかどう今後なってほしいかを明確にしたりしていくことが肝心ということですね。もちろん考える上での前提や方針や効率的なやり方はあるのでしょうが、答えや正解があるわけではないということですね。

本著と重なるところも大いにあるので、セミナー参加などが出来なかった方とかはぜひ上の本をおすすめします。

こちらもさっと資料を元に眺めていきましょう、

特定非営利活動法人 空家・空地管理センターとは?

こちらは団体の説明ですね。詳細は空家・空地管理センターの団体概要を見ると良いかと思います。空き家管理サービスを2つやっていて1つは最低限管理を月額100円で、もう1つはしっかり維持管理するコースでということですね。当ブログでも空き家に関する資格一覧で紹介していましたが空家空地管理士などと定めてそれらを有する人が管理するということですね。

また講演やメディアに出て、空き家問題の現状について認知を広めるということで、これはNPOらしい活動かなという印象です。

空き家活用が進まない原因

空き家所有者には空き家になっている理由があり、それらの事情を無視して提案は拒絶につながるとあります。実際に空き家になっている理由としては、所有者である親が施設に入っても空き家活用に同意してくれないとか、または認知症で判断できないとか。共有者である兄弟と活用方法にもめることも多く、また親の遺言や何か方針もないので全て親のことを思っているのももめ事が消えない原因ということでした。

都心部に多いらしいですが借地権ということで土地を借りてその上に建物を建てている場合、底地権利者が同意しないと建て替えができないとか。

面白いのは、将来離婚した場合戻る家がなくなるのは困るという理由の保持です。これは笑えないのですが、熟年離婚というのが一定数ある場合リスクヘッジとして確かに取っておきたいですね。

高所得者に多いのはとくに困ってないというところもあるようです。

時代とともに、今の高齢者は持ち家比率が高いので総じて空き家が生まれやすいわけです。また団塊Jr世代も同様といいます。

空き家自体の整理例えば、施設に入居した親のものとか、または相続した家の遺品を整理できない。自分たちのものは出来ても、親のものはやりづらい。そういった空き家の遺品などの整理が困難であると、自分たちでは簡単にやりづらい。それが空き家期間が長期化するということもあるようです。これ自体はプライベートの領域なのですが、逆にいえばそういうことになるなら、さっさと断捨離なり決めてやる心構えでないと物事が進まないということにもなります。

空き家の利活用

空き家自体は、売る、貸す、直す、壊すのどれかを通るしかなさそうです。現場の意見としては、思ったような活用はできないけれど、活用ができない不動産ばかりではないということです。つまり、適材適所で活用はできるよということですね。

リフォームをして賃貸戸建てとしたケース、解体後売却し住宅新築したケース、解体後売却して庭として活用したケース、解体後駐車場としたケース等、解体後太陽光発電者になったケースなど全て空き家になったものの活用ケースです。どれもこうすればいいというか、個別具体的に所有者等の話をもとにどうしていけばいいかを考えて形にした事例ですので、考えずに済むことはなさそうです。

庭にしたケースはお隣さんが購入したケースなので、一世帯あたりの面積や庭が出来ると面白いですね。実際に空き家を新築にしたら住宅数増減がプラマイゼロなので減ってはないことになりますからね。

空き家=所有者だけの問題でなく、その子どもや近隣の方、自治会や役所、消防警察等色々な方が空き家という資源に関わるということです。上田さんからは、相談先を誰か確保すること、家族の間で空き家に関してというのも大事ですがコミュニケーションを普段しておくことで「空き家」の話もできる関係作りが大事だという印象を受けました。

あなたにできること

アクションとしては、所有者は、誰もいない実家は空き家であり、定期的に管理すること。ご近所には電話番号などで連絡先を渡しておく、そして利活用を含めた計画などを簡単でいいのでご近所に伝えておく(こうするとやる気が出そうですね)ということでした。

空き家近隣の人としては、空き家問題は誰にも起こる問題であること、所有者は可能な限りのことはしているということ、庭木とか雑草など協力できそうなことはやってみること、所有者には何かあれば知らせることでした。

セミナーの感想

確かに所有者がどうするかだけでなく、社会問題であり近隣やその他社会が関わっているということから、非常に視点にあふれていて参考になるセミナーでした。こういった視点を醸成していって、確実に空き家対応や空き家対策が出来ていけば日本の未来はそう暗いこともないかなと感じました。

こういったセミナー参加は初だったかもしれませんが、非常に刺激になり、今後のブログで取り上げるネタも見つかったので一石二鳥ですね。またお届けしたいと思います。

また空き家所有者の方で活用に困っている方は手っ取り早くセミナーに参加されるのも良いと思いました。

 

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