相続税を支払う人はどの程度いるのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

空き家発生原因として、相続が原因というのがあります。しかし一方で相続についての知識や理解が少なければ、「何が起きるかわからない」のも事実です。今回は、ふと思った「相続税」について、どれくらいの人が対象者かを調べてみました。

相続税とは?

相続とは、簡単にいえば、亡くなった方がいて、その亡くなった方の財産を引き継ぐことができます。例えば自分の父親が亡くなったら、妻や子供が引き継げます。

そのまま何も問題なく例えば実家を引き継いで終わりでなく、ここに税金が発生します。これが相続税です。

相続という言葉を専門家など普段使っている人は「相続」に違和感がないかもしれませんが、人が死んだ財産に税をかけるという発想は興味深いですね。

世界の相続税事情は?「増税ニッポン」と比較によれば、世界によっては例えば中国やシンガポールなどは相続税はありません。また記事によれば、1905年日露戦争時の戦費調達で、固定資産税を上げても足らず、そこで導入されたのが相続税ということで、意外に新しい税金ということに気づきます。

相続税ってどれくらい払う?

相続税は、財産を引き継ぐときに発生する税金ですと書きましたが、全員が対象ではありません。

かなり見づらいですが、国税庁のタックスアンサーで、No.4102 相続税がかかる場合にある資料で説明してみます。

平成27年から対象者が改正され、3000万円+600万円×法定相続人の数以上の資産があればそれ以上のときにかかります。法定相続人とは財産を引き継ぐ人です。例えば上の例と同様、父親が亡くなり土地や家、その他資産が5000万だとします。そうすると、3000万+600万×3人=3000万+1800万=4800万となり、この4800万は正確には控除額ですので引き算します。(控除も見慣れない言葉かもしれませんが、要するに税金対象額を減じるということです。引くと考えて問題ありません)

そうすると、5000万-4800万となり、200万に対して相続税がかかります。ここでは概算でしかないため不正確ですが、課税遺産総額というのが正しい言葉のようですね。

ここからの計算は、相続税の計算方法を参考にやってみますが、この200万に対して、妻、長女、長男の3人だとして、妻2分の1、長女長男で4分の1ずつとなるため、100万、50万、50万に対して、それぞれ相続税を計算すると、

1000万以下は税率が10%なので、妻は100万に対して10%なので10万円。長女や長男は50万に対して10%なので5万円となります。

相続税対象者の割合

上のはあくまで試算であって、結局世帯によって全く異なります。

さて、この相続税対象者はどれくらいの人がいるかですが、国税庁がデータを出しています。

平成28年分の相続税の申告状況についてでは、昨年12月に一昨年のデータが出ていますので、平成28年分が最新です。このレポートからわかるのですが、平成28年で131万人がなくなり、課税対象者は10万6千人でした。割合は、8.1%です。

つまり、100人亡くなったら8人程度は相続税対象者だということです。ちなみに、平成27年に控除額が下がったため、対象者が増えた点も覚えている方も多いかもしれません。

具体的には、改正前の平成26年では、約127万人が亡くなった内、約56000人が課税対象者でした。これは4.4%となっていて、今はほぼ倍です。

上のレポートは課税額などもそうですが、どんな資産だったのかもわかるため、興味深いです。例えば付表4,付表5を見ると、土地の割合は減っていますが、預貯金の割合が増えています。ただ土地の財産額があまり変化してないのに、現預金は倍増しています。他には、家屋自体は意外に安く、有価証券のほうが財産額を占めているなどです。

もちろん資産ポートフォリオとしていろいろな組み方があり、これらは全体の合計値での割合なので世帯あたりがどうかは不明です。統計データとして、国税庁の平成28年度2直接税 相続税というのでExcelデータがあります。こちらを見ると、被相続人の財産額毎の表がありました。

こちらのExcelファイルの5-2課税価格階級別というところを見ると、約10万6千人の内、5000万以下が9490人、5000万から1億円が53,436人、1億円から2億円までが28,032人となっており、これらを合算すると9万人程度となり、全体の9割が2億円未満となります。

面白かったのは、申告と課税のズレです。申告は相続人が出したもので、課税は実際に課税されたものということだと解釈していますが、5000万以下では、申告が29000人と2万人も実際に課税された人より多くなっています。これが何を意味するかの理解が浅いのですが、例えば申告をしたけど修正をしたりなどかもしれません。(例えば遺産額を多く計上してしまったとか、控除するものをしていなかったなどなのでしょうか)

一方、2億円超ではその申告と課税のずれがほぼありません。これはなぜなのかが気になりました。

おまけ

死亡者数自体は厚生労働省の人口動態統計からなのですが、出生数は100万以下になり、同時に死亡者数が130万と、数字だけを見れば死亡者数が多い時代だということを痛感します。平成29年(2017)人口動態統計の年間推計

2005年に死亡者数が出生数を上回ってから、2006年は盛り返しますが、その後2007年から死亡者数が拡大し、自然増減数はマイナスとなっています。「自然増減数」とは「増減」を表す項目ですが、今後は「自然減数」の意味しかないと考えるとなかなか笑えませんね。

おわりに

上記から、相続税の対象者は死亡者数における割合として、約8%でした。100人に8人というのが資産がある方と考えてよく、同時にそこまで資産がなければ当然対象ではありません。

空き家化する原因である相続を知ると、そこから何をすればいいか、または何か考えられることはないかという視野が広がります。少なくとも相続税を払うかどうかという不安がある方は、相続税について調べれば概ね不安は解消するはずです(詳細な計算、とくに建物評価額などは専門家を使いましょう)。

空き家と「相続税」はそこまで関連があるとはいえず、単に空き家などの価値は低いと考えるとその空き家を資産として受け継いだ家族が持て余してしまっているという状況が伺えます(空き家がそのまま売買や賃貸ができればいいのですが、そうはならないからですね)。

思考シミュレーションに過ぎませんが、仮に父親が亡くなって妻が生きている場合、まだその実家は空き家になりません。妻が住んでいるからです。しかし、高齢でなくなったりということを考えると、10年後にはその妻が亡くなりますから、空き家化します。これをそのまま適用すると、単身世帯で高齢世帯で、戸建てや分譲などの持ち家を持っていると空き家になるわけですね。つまり、これらの世帯は空き家予備軍といえます。これらのデータもまた機会があれば調べてみたいと思います。

今回は以上です。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

RSSでもご購読できます。