津島を歩き、まちづくり的アイデアを考えてみた

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愛知県津島市にて、空き家を改修してゲストハウスにしていくという情報をキャッチしました。津島は久しぶりですが、ぶらりと歩いてきたので報告したいと思います。

宿泊施設は下駄屋さんや民家を改修した3件

津島市公式情報として宿泊施設見学会を開催しますがあり、早速お邪魔しました。見学日時は2日間のみでした。施設については厳しいようですが、良くも悪くも民家を改修した、下駄屋さんを改修したということになっていて、お世辞にもまた行きたいかというと疑問が残りました。

それぞれの間取りなど写真は、にぎわいネット津島の津島ゲストハウスにてまとまっています。なお、プレオープンは3/9ですので記事執筆時点ではまだオープンしていません。本格稼働は4/20のようです。

津島市は、メインの天王通り(名鉄津島駅を西に出て、津島神社までの道のり)があります。この通りは車の往来もわりとあり、二車線で歩道ありですが、こちらも歩行者に優しいというよりも、車優先です。その天王通りに2件のゲストハウスがあります。

黒小箱の家。手前の二車線道路があり、歩道はあるが歩きやすいというわけではない。

外観のみですが、訪問した3件の画像は以下です。

チェックインは、げた家に行く必要があります。他の建物には管理人は不在となっています。これらは法的には常駐するには10名以上の客室がある場合でよく、9名以下なら常駐義務はないらしいです。

なぜ津島市はゲストハウスを作ったのか?

ざっくりですが、津島市の動きとして、とくにまちづくりという点は以下にまとめられます。

  • 津島市は津島神社、天王祭りなど歴史や資源があるのに地元民にもあまり知られてない。発信力が弱い。
  • 滞在型観光地域再生プロジェクトのように、町中で滞在出来る場所やエリアを作っていく必要がある。
  • 同時にコンテンツやサービスとして、お寺体験、散策マップ、おもてなしボランティアガイドなどを充実して、観光客を案内する。

もっといえば、津島は良い観光資源があるものの、人をきちんと滞在させる仕組みがないと言えます。また旅館やホテルがほぼない(昔はあったはず)ので、空き家活用も兼ねてこれらのゲストハウスが出来たと言えるでしょう。

ただ、当然これらは「点」です。ただ泊まれる場所を作っただけです。細かな点は省きますが、民家改修をした民泊というか、そういう物件になった。泊まれるというところであって、「泊まって良かった」というのは実際のお客さん次第ですが、地元を応援したいという気持ちがある私でも厳しいというのが本音です。

これからおそらくですが、お寺体験や散策、または今年は春の藤まつり、夏の天王祭りなどでこれらのゲストハウスがどういう立ち回りを見せるかが注目となります。つまり、点というゲストハウスがあっても、何かあるから泊まるのであり、そこがいいから泊まるわけですが、祭りの時期のみでは年間数日しか活用されません。オフ期間でも楽しめるかというと厳しいでしょう。その点は後述します。

当然、点ということは分かっていてこれから開発をしていく、滞在する企画が出来てくることを期待するわけですが、そのためには人であり、イベントであり、何かしら行く理由が必要です。津島体験プログラム 魅力を体験 地元の味や文化、17店が協力 /愛知では、名産のあかだやくつわの体験づくりもあるようで、これらがどこまで伸びるかが注目です。体験プログラムは、こちらの津島まちなかナビで色々と書かれていて、これは今まで見てなかったので期待はできそうです。

ゲストハウスの収支ライン

非常にざっくりですが、ゲストハウスなどの部屋数が少なく、サービスは最低限(またはなし)で、相部屋が基本でまさに旅人向けであるといえますがそれらの宿泊単価は一人3,000円程度です。仮に1日10名なら3万円で、フル利用が一ヶ月続いて、90万円です。売上がですね。規模感としてはこんな形で、人件費やランニング費用を考えると、やはり稼働率は半分つまり5割くらいは欲しいと考えられます。やや乱暴ですが、民泊など自分が居住しながらであれば、人件費をどう捉えるかですが、專門スタッフがいなくてもOKとすると(自分がいるので)、3割くらいの稼働でも収支はトントンなのかなと想定しています。

そもそもその場合の民泊はビジネスとしてやるのか、趣味としてやるのかなど個別に違ってくるのでケースバイケースです。

上のゲストハウスは1棟ではコスト的に見合わないため、3棟なのかなと想像しています。いわばスタッフ人件費は1名分で、それで3棟回すみたいなイメージですが、それでも5割の稼働率がなければ赤字という形です。ちなみに、シミュレーションでは家賃を出して借りているという想定です。今までも紹介したような空き家改修サブリース型というモデルではないかと思っています。

ただ、改修費用は当然家賃から賄うため、所有者へのサブリース報酬はかなり少ないです。しかし、そもそも人が来て泊まってくれないと何も生まれないため、相当踏ん張る必要性が出てきます。試算等は勝手なものですが、1年間で売上が最大2400万(1棟平均800万)で、稼働率5割で1200万ですが、費用は1100万程度かかるのでトントンかなというところです。人件費がそれほど高いとは思いませんし、家賃、水道光熱費、広告宣伝費なども高く見積もったわけではないですが、これらのランニングを下げすぎるとサービスが悪化するため、そこまで外れてないという見立てです。

ただサブリース的にやるなら、家賃コストは下がるのでもう少し楽になりそうです。ただ改修費を返済するということを考えると、トントンでは駄目なので、より稼働率を上げていくことになります。

まちを歩いてみて

津島市が駄目という点の視点ではなく、津島市は津島神社が有名ですし、天王祭りもユニークで面白いです。といってる私が地元民でありながら行ってないのもかなり問題ですが、どこかへいくという選択肢にそもそも上がってこない場所でもあります。これはまちづくり会議などの資料を見る限りでは、当然津島の方も認知していて、共通する課題です。

しかも、これらの観光資源の活用や認知を増やすなどは、津島市だけの話でなく、多くの自治体で言えることです。案内看板などがあまりなく、お世辞にも名鉄津島駅で降りて観光をしたいといえるかというと非常に訴求が弱いです。最も顕著なのは、津島神社への徒歩17分という看板ですが、一見でいくには「商店街を突っ切るのかな?」という不安があり、そういった入り口の改善が大いに必要でしょう。

街歩きの後、軽く喫茶店でランチをしたのですが、失礼ながら普段平日の昼はそこまでお客さんがいないのか、地元の方がゆっくりしているところを「急がせた」という印象になりました。観光客は土日かもしれませんが、ただ海外を視野に入れれば平日等は関係ないのかなと思えますし、そのあたりで観光地化されているところとの差が大きいですね。(観光地化すると、嫌がる人も多いのではないでしょうか。人が来ると賑わいますが、一方でそれらを面倒という人もやはりいるでしょう)。

若い人が作っているようなリノベーションしたり、雑貨屋さんなどは若い人が盛り上がるというところであって、そこまで津島という土地柄は関係ありません。よそ者、若者、馬鹿者というところでいえば、文化や歴史を受け継ぐというやや固い視点は一旦保留する必要があります。もちろん、今までの歴史を無視しろということでなく、若い人なりにやることを温かい目線で見るということですし、そのチャレンジを支援するということです。これがなかなか出来ないのが実際でしょう。多くはただ荒らしに来たと思われるからですね。

劇的に改善するアイデアというのはない

アイデア一発で何か変わることはまずありません。もちろん、ラッキーパンチのようなもので変わることもありますが、それを期待してというのはややナンセンスでしょう。

そこで、あくまで一発改善ではないですが、いくつか歩いてみてこんなアイデアはどうかということを書いてみます。

  • ゲストハウスであれば下駄屋さんを改修しているので、その下駄屋さんのストーリーを感じてもらうと場所の価値が上がるし、面白がる人は多そう。既にあればいいのですが、下駄屋ゲストハウスはスリッパを下駄にしたり、下駄ワークショップをやるなどを既にトライしたほうがいい。こういう小さなアイデアは簡単に試せますし、失敗したり手応えがないなら別のことをトライすればいいのかなと思います。他の民家でも一緒でもともとの味として物理的に柱や目玉となるようなものを残したほうがオリジナル性が出てきます。それらはそこまでオリジナルとかでなく、今までの歴史や味わいを出せる、または認知してもらうなら何でもいいと思います。
  • あかだやくつわという名物があるのに、ひっそりしているのでもっとそれらを盛り上げる工夫をする。スイーツとかそういうものよりも、例えば食べて固いので、固いもの選手権のような一見くだらないようなものを、面白がって身内でやって少しずつ盛り上げていくほうが筋が良さそうです。もっとも、固いもの選手権なら、地元の高齢者が参加して健康歯をアピールしてもいいし、あかだ体験づくりというのと連動させても面白そうです。カップヌードルミュージアム 大阪池田は、チキンラーメンづくりが出来る工房があり人気です。それと同様の施設を作るということでなく、それこそ空き家やゲストハウス、交流スペースとして既にある場所を活用して、ポテンシャルを高めることが大事でしょう。そこから勝ちパターンや成功パターンを見出しそれらを打ち続けることが筋が良さそうです。
  • 埋もれている有名人をあぶり出すのも一つの手です。ヨネ・ノグチと言われても、イサム・ノグチとかと関係があるのか?という程度しか私は知りませんでした。調べると、イサム氏の父親ですから、もっとアピール出来る気がします。生家があるだけでもグッドですし、詩人ということで文芸や文学という点をアピールするのも手です。キャッチにもなりやすいので、こういった小さなアイデアは即実行していくスピード感が求められます。
  • 現在検証中であろう散策マップは情報がありすぎてチャレンジというところはありませんでした。おそらく散策マップがそのうち整備されたり、検証されて精度の高いものになるのかなと思います。英語、中国語は必須ですし、可能なら簡単な動画案内が必須です。現状、案内所的なものが機能していないのであれば、そこにいても仕方がないので、国内と海外の観光客が来そうなところに出向いてアピールしないときつくなりそうです。
  • 点から線、面となるには、津島の一部がまずは盛り上がり、内外から賑わいが出来つつあり、そこからどのあたりまでいくかを決めていく必要があります。行政ではこれらの指標やスピード感が弱いので民間のちからが必須ですが、民間としてはやると何か面白そうとか、メリットが見える(とくに商売やビジネスが成り立つか)ところになれば一段落できそうです。が、そこまでたどり着くのは1,2年で出来るかというと微妙で、地味に街並みを変えつつ、そこで勝ちパターンを見出しやっていくしかなさそうです。
  • レトロ看板など古いものを楽しむ人も若い人やデザイナーではいそうです。pintarestやInstagramなども活用していくのもいいと思います。これは街並みを紹介するというよりも、訪れた人が拡散してもらうという仕掛けですね。

これらのハードでないソフトの企画に対して、「イベント」としてやれば人が来るわけではなく、一過的なものが多くなるのが実際でしょう。現実的には、来てもらうチャンスを一回でも作るためのイベントでしょう。そして一回でも来てもらったら何かフックとなるものを作っておく、それが人でもものでも、名物でも何でもいいんですね。もちろん何でもとは適当にやれということではありません。そういう一回のチャンスで、少しでも魅力がある、何かここのまちや場所や違うぞと思わせられるかどうか。それは真剣勝負です。まちづくりとか商売とかそういったくくりは全く関係がないともいえそうです。

これらは劇的に改善する何か一発逆転なアイデアではありません。10個やって1個そもそも形に出来るかどうか、そして継続できるかとなると、人が問われます。つまり、動く人や関わる人や魅力を持つ人がそこにいることなんですね。なんか頑張ってる人(頑張ればいいというわけではなく)をみたら応援したくなりますから。

おわりに

津島を歩いただけですが、色々な情報をインプットしていたため、問題点や課題が色々と見えてきました。実際に津島を盛り上げるにはどうすればいいかを考えると、上のアイデアを実行しつつ、どうなるかということでしょう。ハードな箱物を作るプランはありえませんから、ソフトな企画でどこまで筋が良いものが見つけられるかが勝負のような気がしました。

また、津島市がどうというよりも、似たような都市は多数あり、これらが同様に抱える問題としての、滞在時間を増やす、観光客を増やす、面で楽しめる仕掛けを作るということが考えられそうです。

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