【暫定版】平成29年度先駆的空き家モデル事業の事業成果報告書をまとめてみた

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以前紹介しましたが、国交省が行っているモデル事業で、先駆的空き家モデル事業というのがあります。平成28年度の成果は既に公表済ですが、最新である平成29年度はそろそろ出てくるかなというところですが、まだ出ていません。

そこで調べてみて採択団体(事業者、自治体)毎に情報を出しているところもいくつかあったのでそれらの結果をまとめてみました。

目次

平成29年度先駆的空き家モデル事業者リスト

団体自体は27団体あり、事業報告書などの成果物が上がっているのは8団体、一部パンフレットなどがあるのは6団体、残り13団体はまだ上がってませんでした。国交省の募集要項では4月には公開されるようですが(事業報告書自体は既に国交省に提出されているはず)、簡単に電話で確認したところ4月予定だけど、おそらく伸びるということで、5月中には国交省サイトで確認できるかなというところです。正確なものはそちらをお待ち下さい。

No 事業者 成果物URL
1 特定非営利活動法人空き家コンシェルジュ
2 株式会社アトリエ・天工人
3 一般社団法人IORI倶楽部
4 伊賀市
5 一般社団法人大阪府不動産コンサルティング協会
6 かでな空き家活用推進協議会
7 北九州空き家管理活用協議会
8 特定非営利活動法人岐阜空き家・相続共生ネット
9 京丹後市
10 鞍手町
11 高蔵寺ニュータウン住宅流通促進協議会
12 特定非営利活動法人コレクティブハウジング社
13 公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会
14 一般財団法人下川町ふるさと開発振興公社
15 一般社団法人すまいづくりまちづくりセンター連合会
16 特定非営利活動法人つるおかランド・バンク
17 徳島県住宅供給公社
18 栃木市
19 名張市
20 日本司法書士会連合会
21 HOUSE-ZOO株式会社
22 福岡県青年司法書士協議会
23 松田町
24 宗像市
25 大和・町家バンクネット ワーク協議会
26 山梨県人会十士会
27 ランドブレイン株式会社

Excelのものをできるだけわかりやすく貼り付けてみました。

順番は国交省の採択団体リストのままです。事業者名のリンクは、事業者のサイトと思われるサイトへリンクしました。成果物URLとは、今回のモデル事業の事業報告書などがあるサイトです。現時点でなかったものはリンクを外していますが、情報が更新された場合は事業者サイトで公開されると思うので調べることが出来ると思います。

先駆的空き家モデル事業についての説明は国交省サイトをご確認ください。基本的に先駆けて空き家に対して事業や調査をして実証して、それを全国で使えるように展開するという事業モデルです。

事業に対する簡単なコメント

調べていてざっと資料は目を通したのですが、成果報告書がないものも、調べたので、簡単ですがコメントしてみます。

1.特定非営利活動法人空き家コンシェルジュ

空き家プラットホーム構築マニュアルは3市区町村の実践があり参考になります。不動産流通困難物件事例集は一つとして同じ空き家はないということを痛感しましたし、非常に興味深かったです。

流通困難な理由は多種多様で、これらをまとめられたことは非常に有意義で価値があると感じました。

2.株式会社アトリエ・天工人

代表者が実践する奄美大島での再生事業などをうまく他地域でも出来ないかという想いが実践的な取り組みとしてまとめられて面白いです。

こちらの記事は面白かったです。空き家は、島の文化財? 伝統的な民家を宿に再生。奄美大島で始まった〈伝泊〉とは

伝泊という言葉を流行りの民泊と重ねてうまく広がるといいですね。他地域でも伝統的な民家を改修していくモデルになるといいですね。

3.一般社団法人IORI倶楽部

おそらく空き家市場ふくしまでのノウハウの共有が主なものと考えられます。空き家バンクを自治体任せでなくもっと違う形で出来ないかという実践的狙いですね。

4.伊賀市

所有者不明物件に対する対策が非常に興味深いです。実務的に自治体が困っている点が明記されており、それに対してなにか出来ないという視点ですね。今後の成果報告書が楽しみです。

5.一般社団法人大阪府不動産コンサルティング協会

空き家の引き取り支援にかかるガイドライン(案)がアップされていて、10相談事例が端的にまとめられていて面白かったです。

とくに不動産調査などの支援内容を概ね1件8万円程度というデータは、どの程度かかるか分からない空き家所有者などの相談者にも有用だと言えます。

権利関係が複雑であるものは今回は少なく、逆に心理的負担(面倒)などを啓発していくと、軽微な課題はわりと回るのだなという印象を受けました。つまり、全部の空き家所有者の課題が深刻かというと、軽度のものもあるよねという話です。そうなると、そういう軽度、中度、重度というようにレベルを分けて対応ができればより対策も進みそうだというヒントになりました。

6.かでな空き家活用推進協議会

お試し居住事業をベースにしたソーシャルビジネスよりのマニュアルが一部確認できました。これらはFacebookで概要のみの写真で詳細は不明でした。

お試し居住をその一つと位置づけ、どう民間的に空き家ビジネスが出来るかを検討していくのは興味深いですね。

7.北九州空き家管理活用協議会

空き家管理事業を行う視点で何が出てくるのかは面白そうだというところです。

8.特定非営利活動法人岐阜空き家・相続共生ネット

空き家予備軍への啓発などが興味深いです。

9.京丹後市

空き家対策協議会の中で、言及されていることは確認できました。所有者不明空き家に対してのモデルになりえる気がしました。

10.鞍手町

リノベ案をクリエイターから募ってできるのは面白いです。ただ、実施モデルであって実践したなにかではないので、実践した後にどうかが気になりました。例えば、建築士やデザイン設計において報酬を払うかどうかなどですが、ざっと見たところ、当選案に払うコンペ形式でした。これが機能するかどうかというところですね。

11.高蔵寺ニュータウン住宅流通促進協議会

春日井市の高蔵寺ニュータウン対策としていろいろやられている一環だと思われます。すまいアップワークショップなどが本モデル事業に該当するのかなというところですが、やや特徴的だと感じたのはDIYを自分たちでやることで、楽しく面白くやるという視点です。イベント的で継続性ややり方のモデルがどうかは、事業成果物や報告書を見るのが楽しみですね。

12.特定非営利活動法人コレクティブハウジング社

コレクティブハウス自体は、シェアハウスとは異なる印象です。実際には現代版長屋という感じが適切かなというところです。コレクティブハウスという視点で、対象事業者や団体を調査してまとめたところが価値になるかなと思います。

13.公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会

マニュアルはすごく分厚かった気がしますが、埼玉県内の宅建業者向けのマニュアル、とくに空き家についてというのが整備されています。そういう意味では事業者向けの知見の共有だと感じました。

14.一般財団法人下川町ふるさと開発振興公社

下川町自体は3000人の小さな町で、そういう町がどうビジネスを構築するかという視点が興味深かったです。ただコーディネートがあることでビジネスが回るイメージが見えませんでした。具体的には、ビジネスシミュレーションにある、いくつかというか大きな事業が一体なにか、行政からの委託事業なのか自主事業なのかそのあたりがわかりませんでした。

一応成果としては、転入者など移住者から一定の空き家を賃貸、売買、保険、インスペクション等の小さな仕事があるからわりといけるよねという、そういう話です。

小さい町だから1事業者レベルでは無理で、連携していくことが大事だというのはよく分かるところです。空き家ビジネス、空き家関連事業をやりたい方はヒントになるかもしれません。

15.一般社団法人すまいづくりまちづくりセンター連合会

資料がなかったのですが、自治体のまとめみたいな印象です。

16.特定非営利活動法人つるおかランド・バンク

団体がやっている狭小道路(幅員2m以下)などに隣接する建物などを、例えば束ねて、セットバックとして道路を拡張。そうすることで違う活用が出来るしそれらを実践している団体なので、非常に興味深いです。報告書が楽しみですね。

17.徳島県住宅供給公社

資料はなかったので、とくにコメントはありません。

18.栃木市

資料はなかったので、とくにコメントはありません。

19.名張市

昨年度からの流れで、予測モデルを作り、そこからターゲット地域への移住定住促進の検討実施が面白そうです。昨年度は、ざっくりいえば国勢調査などのデータやビッグデータからどの地域に人が住みそうか、空き家になりそうかを予測していくものです。

ここから検討実施をされたようなので、予測モデルの精度がどうかも気になりますし、どうモデルを実践したかも面白そうです。こちらも報告書が楽しみです。

20.日本司法書士会連合会

司法書士会でとくに中国・四国地方で相談事業をまとめたものとなります。

21.HOUSE-ZOO株式会社

ペットシェアハウスというのが特徴的でした。ペットシェアハウス事業を行う事業者がやっているので実践的です。

22.福岡県青年司法書士協議会

福岡県の司法書士会ということで、認知症という視点を空き家バンクにいれていくという点が面白かったです。要は空き家になるのは、単独高齢世帯が老人ホーム等に入居するケースも多いわけですが、その時に「認知症」になった場合、なんともし難いわけです。

であれば、空き家バンクに登録した時点でそういった認知症に対しての啓発やそうなってもやり取りができれば良いわけで、その視点が興味深かったです。

23.松田町

空き家問題の啓発や、パンフレットがメインだと感じました。

24.宗像市

自治体の空き家相談窓口の実践。各取り組みに対して評価すべきことと、課題が並列されており、学びになりました。事業報告書はあります。

25.大和・町家バンクネット ワーク協議会

昨年度の実践を活かした人材育成や実証が面白そうですが、現時点では資料がないので、どうやられたかが気になりました。

26.山梨県人会十士会

県人会というのが特徴的。県人会とはその都道府県を出身とする人たちの会ですね。山梨県は空き家率が高めですがそういう点もあるかもしれません。県人会という視点で何をやられたかは気になりました。

27.ランドブレイン株式会社

民間シンクタンクの取り組みということで、今回ではやや異色な印象です。シンクタンクが考える民間視点での空き家検証方法などがとても気になりました。報告書が出てくるのが楽しみですね。

おまけ(リサーチの仕方)

リサーチといっても大したことをやっているわけではありませんが、今回先駆的空き家モデル事業についてどう調べたかを書いておきます。リサーチ等をやられる方には当然すぎるかもしれませんが、時間をかければ一定の知見は得られるということで、なにかヒントになれば幸いです。

1.調べたいことを設定する

今回は、先駆的空き家モデル事業について調べたいと考えました。現時点では平成28年分はあるが、29年分はありません。国交省の公開を待っていてもいいのですが、他になにか調べられないかということで調べてみました。

2.とりあえず検索サイトで調べてみる

Googleをメインに使っていますが、その場合に入れるべきキーワードは、事業者名をまず入れます。調べているうちに見えてくるのですが、今回は幸いにもこの事業は成果報告書を公開する義務があります(そういう事業です)。ですので、事業者サイトを見るとバナーやリンク、お知らせがあったりするので、そこから見つかることもあります。

事業タイトルで検索したりも有効でした。自治体については、多くは空き家対策事業の一環でやられていたり、空き家対策協議会で言及されていたりします。

3.何をまとめるかを決める

すでに1で決めていますが、今回は成果報告書を見たいのが一つの設定でした。そもそも成果報告書があるかどうかを調べた上で、全てあるわけではなく、14団体はありませんでした。ただ残り13団体が事業報告書があるわけでなく、一部他の成果物があったり(パンフレット、概要、チラシなど)で、まとまっていませんでした。

結果的には、それぞれ調べる中でコメントを残してメモしつつ、成果報告書があるものは目を通して当初の目的は達成できました。

4.知見を共有する

これは考え方次第ですが、先駆的空き家モデル事業については知らない方も多いと思いますが、やっていることは失礼ながら国にしては良い支援だと感じます。例えば自治体で空き家対策を予算を設けてやればいいというのはそのとおりなのですが、人口5万人以下のレベルの自治体で、空き家対策で例えば予算1000万を取るという場合、既に事業としてなにか見えるものでないとできないはずです。つまり予算がないからなんですが、その予算をどこから取ってくるか。

例えば、所有者不明空き家対策をしたいけどどうするか。人員もだが、予算もない。そうなったときに意識が高い自治体、その職員が手をあげて実践しないとこういった事業はまずは出来ないのではないかと考えられます。

自治体でなくても、民間であったり、一般社団法人であったり、NPO法人でも同様でしょう。予算が潤沢にあるわけでなく、むしろない中で、どうやるかということですね。

今回のリサーチ自体は、それらの事業者の成果を上澄みだけ取ってくるというふうに感じられる方ももしかしたらいるかもしれませんが、どちらかといえばこの青果物を共有していくのが本モデル事業の狙いのはずなので、そこと合致しているとも言えます。

あと、これらの情報をちゃんと見ていることで、詳しくない人に対してこちらは調べたことなので説明できますし、そういう意味でこちらの負担ということでなく、その上で判断をしたり、考える材料として欲しいということですね。もちろんご相談があればやれることはぜひやりたいと考えているのでその点はお問い合わせくださいませ。

おわりに

平成28年度版はここまでやりませんでしたし、既に公開されているので価値がないかなと思っています。ただ、そもそも国交省の取り組みを知らない人には有用だと思うので、また28年版も作るかもしれません。

少しでも空き家ビジネスや空き家事業をやろうとする方、あとは空き家所有者の方もいろいろな地域で取り組みがされていることをお伝えできれば嬉しい限りです。

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名古屋の不動産市場を知る

日本ランドエンジニアリング株式会社では、数年に一度のペースで、名古屋中心部エリアの不動産状況を調べています。2017年度は変貌する名古屋5(2017年6月作成)を発行致しました。名古屋の不動産市場を見るデータとしてご活用頂ければ幸いです。

名古屋中心部エリアの調査レポートです。表紙、裏表紙込みで全体で12ページとなっています。配布ファイルはPDF(約2.5MB)で、データファイルはA3サイズですが、A4の縮小印刷でも可読可能です。

レポート内容は、

1.建物の主たる利用別用途図(P.2-3)

2.建築中および5年以内に新築・建て替えられた建物(P.4-5)

3.既存および建築中ホテル(P.6-7)

4.所有権の異動(売買および相続)(P.8-9)

5.投資法人が所有する建物(P.10)

6.名古屋市中心部の状況(P.11)

となっています。

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