全国版空き家バンクの半年間成約数はどの程度有効化を検討してみた

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全国版空き家バンクの運営が本格化したようです。本格化自体の意味は分からないのですが、成約数データが出てきたので、それらはどういう数字で何を意味するかを考えてみます。ソースは、全国版空き家・空き地バンクを高機能化空き家・空き地バンク 全国情報を一元化 国交省からです。

2017年10月から2018年3月の半年間で成約数は142件

全国版空き家バンクについては、何度も書いていますが、LIFULLとアットホームの二者が行っているWebサイトです。自治体の空き家バンクでは使い難いので、民間でそれらをやってみる試みとなります。

142件(売買101件、賃貸41件)は多いか少ないか?これだけでは分からないので、以下のようなことを考えてみました。

  1. そもそも自治体空き家バンクの成約数や成約率はどの程度か
  2. 今回の成約数は、「全国版空き家サイト」の問い合わせからなのか、純粋な自治体サイトなのかが不明
  3. 空き家バンク成約数が大体分かれば「全国版空き家バンク」の認知アップや成果イメージが想像できる

ということです。

1番目については、うるるが以前調べていた空き家バンク実態調査が参考になります。本ブログでもうるるの空き家バンク運営実態調査レポートが面白いで簡単にご紹介致しました。再度リンクを貼っておくと、うるるの空き家バンク運営実態調査レポートはこちらになります。ここから実態が大体把握出来ます。

2番目は、いわゆるサイトの成約数のデータをどこまで遡るかという話です。つまり、全国版空き家バンクを見て問い合わせたことがシステム的に分かるのかと、今回の数字がそこに紐付いているかどうかですね。普通に考えれば、純増とみたいので、今回は純増として見ていってそれがどの程度影響しているかを考えたほうが良さそうです。

3番目は、総論という意味で、142件の意味するものを紐解いていくということです。

結論

結論としては、1自治体あたり平均0.56件の成約数が増えると考えられ、単純に全国版の効果はあったと言えます。ただ当然ですが、民間会社2者が運営しつつデータ登録やサイト構築をしているため、そのあたりからすれば自治体のメリットはあっても、運営側にどこまでメリットがあるかというところが疑問です。

それに至るプロセスを見ていきましょう。

自治体空き家バンクの登録数や成約数

上記うるるの実態調査レポートを見ると、月間登録数は平均で0.9件となっています。月なので、年にすると12倍して、10.8件が年間登録数となります。10件と考えていいでしょう。次に、成約数はというと、月間成約数が0.4件となっています。同様に12倍して、年間4.8件となります。約5件の成約となります。

平均の誤謬という点はあるので分散していることは頭においておきつつ、例えば「成約が多い」自治体とかと「成約が少ない」自治体も混ざっているわけです。ざっくりいえば、一つの空き家バンクは1年で10件登録物件があり、5件成約すると考えられます。成約率の平均は全体で46.9%ですので、概ね5割と考えて良いですね。

全国版空き家バンクの142件はどの程度の意味を持つか?

ポイントはここです。142件とは、参加自治体の492自治体での数値です。当然うるるのレポートからいくと、北海道などは90%の成約率であるとか、累計数が多いところはやはりエース級といえるので、それらも全てまとめた数字であることを加味する必要はあります。

ただ今回は全体を眺める狙いなので、単純に参加自治体数で割ります。142÷492=0.28となります。つまり、1自治体あたり平均0.28件の成約がされたと言えます。内訳があればもっと面白いデータになりますよね。

では、この0.28という件数はどう捉えられるかですが、先程年間でいえば10件登録があって5件の成約という話でした。全国版空き家バンクは半年ですので2倍して年間換算にすると、0.56件となります。つまり、5件の成約にプラス0.56件となります。こちらも割合でいえば、1割のプラスとなります。自治体だけでは5件だったのが、5.56件になったのでプラスと言えるわけです。

全国版空き家バンクの指標はどの程度になっているか?

例えば、今回の施策でどの程度空き家バンクの認知率が増えるかは考えられているのかということで、国交省の該当ページを見てもそういったデータはなさそうです。平成29年度事業概要としての「空き家・空き地等の流通の活性化の推進」というものであえていえば、「物件情報の項目が標準化」されたり、「ワンストップで物件検索が可能」になったり、「消費者ニーズを満たした検索が可能」になるというだけで、指標や数字があるわけではありません。

国に限らず、指標がどこに設定されているかというところでは、例えば現時点では参加自治体想定700自治体の492自治体が「参加」していることを掲げることになります。こういう数字は、「制度」を作りそこに参画してもらうというのが国の見方だからと言えますが、参加しても上のように成約数のプラスメリットが薄ければ意味が薄くなります(自治体も馬鹿ではないので無駄なことなら参加しません。ただ国の手前やるということもあるのでしょうが)。

つまり、指標はない中で、ひとまず参加して、横断ワンストップシステムを試してみたら一応はプアrスだったということです。厳密にいえば、2者が時間やシステムコストを負担しているので、それらを投じた価値があるかは疑問です。ただそこを見なければ、利用者にとってはプラスですから良い仕組みとも言えます。

今後の全国版空き家バンクはどうなるか

今後については、自治体参加数も全自治体が参加するかはおいておいて、上限の700程度まで上がるかもしれません。その後の成約数も認知が増えればそこから増えるかもしれません。減ることはないと思いますが、増えていく流れとなるでしょう。

ただ、これによって自治体側の手間が省略できるかは分からないので、そのあたりの業務削減や効率化、または成約までの期間がアップするなどの実務レベルを見ていく必要がありそうです。他には、消費者ニーズに応じた検索とは農地付きや店舗付きというものを調べられるなどですが、これらも数が少ないので、今後増えていくか、またはどの程度増えて「数がある」という認知になるかが肝となりそうです。

おわりに

全国版空き家バンクの半年の成果は、自治体空き家バンクの運営の中で、1割程度のプラス成約数になるという「平均結果」になり、これは良い結果だと言えます。この1割をたかが1割か、されど1割か。またはどこまでモデル事業者の2者が事業メリットなどを見込めているかあたりが今後の課題になっていくかなと思います。自治体からの質問でもあったはずですが、当該2者は運用を簡単にやめるとかはない(とはいえ保証されているとは思えませんが)はずなので、しばらくどうなっていくか注目となりそうです。

あとは、全国版空き家バンクが1年終わった当たりで、自治体毎の月別の成約数や登録数が見えてくると面白そうですね。

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日本ランドエンジニアリング株式会社では、数年に一度のペースで、名古屋中心部エリアの不動産状況を調べています。2017年度は変貌する名古屋5(2017年6月作成)を発行致しました。名古屋の不動産市場を見るデータとしてご活用頂ければ幸いです。

名古屋中心部エリアの調査レポートです。表紙、裏表紙込みで全体で12ページとなっています。配布ファイルはPDF(約2.5MB)で、データファイルはA3サイズですが、A4の縮小印刷でも可読可能です。

レポート内容は、

1.建物の主たる利用別用途図(P.2-3)

2.建築中および5年以内に新築・建て替えられた建物(P.4-5)

3.既存および建築中ホテル(P.6-7)

4.所有権の異動(売買および相続)(P.8-9)

5.投資法人が所有する建物(P.10)

6.名古屋市中心部の状況(P.11)

となっています。

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