令和元年度の空き家・空き地等の利活用に関するモデル事業の成果発表会を見てみる

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令和元年度地域の空き家・空き地等の利活用等に関するモデル事業の成果発表会自体は中止のようですが、その会向けに配布予定の資料が公開されています。この資料を少し見ていきたいと思います。

事業の成果概要

事業の成果概要スライドをざっと見ていきましょう。

事業自体は事業名通りで利活用を促進するための取り組みを支援ということですね。モデルというのは、他でも展開できたりというニュアンスかと考えられます。

20の採用団体が取り組んだモデル事業自体は、3つに分かれていて、空き家利用者や所有者向けの意識改善、新しい需要や用途の開発、地域の人材育成や仕組みづくりということのようです。

見ていくポイント

私が見ていくポイントを掲示します。

上の概要を見て直感的に1つ目の意識改善的な、啓発などですがこれは多いだろうなあということです。一方で見るべきは「啓発」としてより「意識づける」ものがあるかどうかという視点があるかですね。13団体がカテゴライズされます。

新たな需要創出は気になるので2団体だけですが見ていきましょう。新規で取り組みをする団体は少ないということですね。

最後は人材育成など仕組みづくりです。人材育成とはつなぎ役やアドバイザーなどですがこれが足りてないので増やすだけでいいのかというとまた違う気がしますよね。5団体ありますがそういう人材や仕組みを作ろうとしているかを探ってみましょう。

啓発や意識付け活動

まずは啓発的な活動からです。

これについては啓発方法や意識についてとくに所有者向けのアプローチが主となります。Webから相談会まで幅広くやられています。一方で成果として検討中等は多くなりますが、実際にアクションとして解体、売却等までいったものは各団体で一桁あればいいという印象を覚えました。

この成果自体については予算からしてどう見るかの評価はし難いのですが、何か啓発や意識付けですぐに動くよりも、多くの所有者にとっては「関与が低い」という感覚を覚えます。これは良い悪いというよりも、だからこそ課題となっているという鶏が先か卵が先かという問題に近そうです。

そこを打ち破ってどうですかと言っていくことを続けていくしかないですよね。

新たな需要創出活動

これは2団体です。どのような活動か見ていきましょう。

一つは愛知県高浜市を中心としたバディ制度による取り組みです。これは外国人の介護技能実習生の賃借課題を空き家提供で解決ということのようです。この取組自体は課題性もありアプローチが面白いですね。

もう1つは京都市での取り組みです。これは研究会を作り京都での空き家空き地を受け入れてそれをどう活用するかを子育て住環境という視点で仕組みを作ろうというものです。面白いですね。

結局のところ、入り口があっても出口や流れが明確でなければ話は進まないからですね。

人材育成・事業仕組みづくり

これは5団体です。

人材育成ではファシリテーターや空き家活用事業を出来るという育成プログラムの実施です。不動産後見アドバイザーという福祉制度に強いという領域も今後広がりそうですね。

仕組みづくりではネットワークや協定というところとなりそうです。

定量的な成果

1枚のスライドに定量的なデータもまとめられています。事業全体ということですが、所有者が2,600名程度で、事業者は約1,000名というボリュームです。

また所有者相談件数は約550件。

利活用物件という売却、賃貸、解体、用途変更の4つの合計値で実施済のものは、約130程度となります。相談件数ベースでいえば2割近くとなりますが、これをどう評価するかとなります。

また検討中は約400程度となり、また参加者はその7倍程度はあるので、単純に所有者である参加者を増やせばいいのか、検討中やアクション率を上げるのかなどは各事業者の課題となりますが、一つの目安にはなりそうです。

例えば、空き家所有者のコンタクト数を100とすると、20が相談、16が検討中、5が成約という流れです。成約率がコンタクトからして5%というのが高いか低いかは人により判断が分かれそうです。

ビジネス的な視点で考えると投資活動に見合うかで、単純に回収できるかどうかです。一人当たり5000円の広告宣伝費を使って100人に集客成功して、50万円です。ちょっと高い感じがしますが、そこから、各種フォローをして成約が5件とします。このとき、50万円に対して5件なので、1件あたりの商品やサービスが10万円を下回ればここだけ見れば赤字です。

1件あたりの単価が10万円以上となると、低廉空き家の仲介では家賃単価から厳しそうです。また売買で数万円しか出ないようなものはボランタリー(むしろ赤字)事業となります。

もちろん、このようにビジネス的に見て見合わないからやらないからこそ、今の現状があります。逆に見合う仕組みやアイデアやモデルを作れた人は、その仕組みを回すということになります。

空き家問題をどう捉えるかによりますが、やはり現状で効果的なアプローチとは難しいものだなという印象を受けます。これでビジネス的にもですが、ビジネスを抜きにして回る継続するモデルであればいいのですが、なかなか突破口は見えてこないと感じています。

全体的な課題感

最後の統括として、事業課題がまとめられています。

啓発に対して認知不足が課題であったり、集客が課題というのは、多くは所有者にとってメリットがあまりないか、信頼できないというところでしょう。事業者自体が信頼できないという事実でなく、所有者からみて「自分の空き家とはいえ、不動産をすぐに検討する」というのは、なかなか出来ないからです。信頼形成から長い時間がかかります。

事業者的には「早い決断」となりますが、早さのイメージが異なりますよね。このあたりのギャップをどうコミュニケーションできるか、そもそもしているかが本質かもしれません。

人材育成や仕組みづくりは難しい領域だと思うのですが、人を育てる仕組みは大事ですし、そもそも人が勝手に育つわけではないので、また育った人材が活躍できる領域、仕事、取り組みがなければなかなか継続が難しそうです。仕事を作るというのはなかなかですが、少なくとも領域として既存の領域と重なるもの、例えば建築やリフォームやデザインや営業やまちづくりなど少しずつ重ねてってそこからどうかという感覚を覚えました。

そもそも学んだり覚えたところで、何か活かせない、課題を解決しづらい、またはしても効果が薄すぎるとなかなか人は個人のミッションを抜きにしたら継続できるものではないからですね。

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