体験農園サービスは今後の農地活用に使えるだろうか

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個人の趣味としてマイファームで土いじりをはじめました。とはいえ正確にはパートナーが主であり、そのサポートというのが正しいです(笑)マイファームは耕作放棄地をなくすという形で、市民農園的なサービスを全国に提供しています。今回はシェア農園、体験農園サービスについて調べてみました。

体験農園サービス

体験農園というのは農園自体を「体験」することを主としているといっていいでしょう。本業や仕事としての農作物を育てる、プロ農家、または兼業農家ということでなく、あくまで趣味やプライベートの一つという位置づけです。

主なターゲットは週末の土日など空いた時間で手入れをするという趣味型です。私もこれに該当します。

マイファーム

株式会社マイファームが運営するサービス「マイファーム」は2007年頃からはじまっています。2010年には中部地方に進出し、2013年にはアグリイノベーション大学校(プロ農家を目指す人向け?)が設立され、2017年にはつくる通信という小冊子が発刊。最近はガイアの夜明け等メディアにも出ておりご存知の方もいるかもですね。

体験農園サービスとしては「体験農園マイファーム」が該当します。耕作放棄地は農業されていたわけなので、その農地を残したい農家さん向けに体験農園として貸し出すことで新しい農園とするイメージです。

無農薬・有機肥料が特徴で、アドバイザーもいます。全国に100箇所程度ありそうです。土作り等の準備はアドバイザーと一緒にやる必要はあります。また普段の手入れも基本は契約者が行います。水やりのためのじょうろであるとか、鍬やスコップ、肥料等は既存であるのでそれらを利用することができます。

農地等を持っているオーナー向けには、農地活用の提案があります。もちろんこれも体験農園にすれば誰も来てすぐ埋まるという話ではないでしょう。

シェア畑

株式会社アグリメディアが運営するシェア畑は首都圏や関西を中心に93箇所程度あるようです。開始は2012年2月のようです。

設備や道具等は、マイファームよりも優れているように見えます。シェア畑とは

首都圏が中心というところがあるものの、遊休地の活用であるとか、会社自体のミッションは農業が儲かる事業として作っていく方向のようです。

農地に関する土地活用は別メディアがあり、農地・遊休地活用サイトでまとめられています。

市民農園と体験農園の違い

これは気になったので調べてみました。ざっくりいうと、市民農園は区画を貸し出して後は借りた人にお任せ。体験農園は区画を利用するが貸し出しているわけではなく、基本的にプロやアドバイザーの指導が得られるという点がポイントです。交流等も体験農園の方が起きやすく、市民農園はそうではないという印象です。

名古屋市であれば、市民農園=貸し農園と書かれています。名称が色々あるものの、倍率は3倍となっていて抽選で選ばれるのもわりと大変そうです。基本的に年間の利用料が8,000円程度となり、コミュニティ農園になると管理自体も共同で契約者が行うのでさらに安くなっています。1年や3年などの期間もポイントとなりそうです、1年やって次1年出来るかが分からないのはネックになりそうですね。

名古屋市であれば16区のうち、東、中、千種、昭和、熱田、港の6区を除く、10区に1個はある形です。

愛知県の農業総合試験場が出している平成24年と少し古いですが資料「農業体験農園開設の手引き」も面白いです。法令として農地法に関わるような農業委員会の許認可は体験農園は関係ないといえそうです。理由は農地の貸借を行っていない、あくまで農地所有者が耕した農地を活用しているという形になるのかなと思われます。市民農園は区画単位で貸借しているので農業委員会の許認可が必要となります。

少し違いますが、シェアオフィスと普通のオフィスとの違いに似ているかもしれません。シェアオフィスは区切られた面積で借りたりしますが、設備や備品等は共有で使えます。自社で専有できない点はありますが、逆にシェアしているため他入居者との交流がメリットになりやすいです。

耕作放棄地の減少につながっているか、活用になっているか

耕作放棄地についてのデータは千葉県のサイトにまとめられていたのでそこを参照します。

耕作放棄地とはで書かれていて、全国で経営耕地面積が345万haあり、耕作放棄地面積は42万haあり、耕作放棄地率は10.9%となっています。空き家率みたいな感じですね。

マイファームなど民間企業の体験農園サービスは箇所数ベースで200箇所程度であり、都市部ではその面積も小さいと考えられそうです。

例えば、日進市の日進野菜塾では総面積が2000平方メートルとなっています。1haは1万平方メートルですから、0.2haほどとなります。

あくまで印象としては、空き家でいえば特定空き家のような問題があるものをうまく活用することで、他のアイデアやチャレンジする土壌を作っていく印象です。

つまり、体験農園だけであったり、民間企業の取組だけでは、耕作放棄地を減らすにはやはり厳しいと感じました。

他にデータがあればぜひ教えてください。

体験農園の価値とは何か

まだ始めたばかりなのでそこまでは語れませんが、少しやってみて見えたことを主観ということを断りつつ書いてみます。

体験農園の価値は、出来る野菜自体の味や美味しさ、それを売買する仕事ということでなく、あくまで「農作物を収穫するまでの過程」を体験できることだと考えられます。

あくまで個人例に過ぎませんが、体験農園に見学するとアドバイザーが案内してくれ、他の利用者の方から差し入れを頂き軽くお話する機会が生まれました。次の機会には、アドバイザーの助けを得つつ、他の利用者の方からもアドバイスを頂き有意義な体験となりました。

ここから言えることはわずかなのですが、想定している以上に、「同じ場所(区画は違いますが)で作業していることからの連帯感」であったり、「コミュニケーションする機会が増える」ことであったり、作品ではないが農作物というアウトプットが見えるので分かりやすい(上手い下手もあるのでしょうが上手いなら教えることもできるし、下手ならうまくなろうとするなど)のも良いのかなと感じました。

一方で農園体験サービスは、収穫を最大化するような農業や効率的な仕事を目指しているわけではないです。もちろん収穫することが目的になりますが、上手いかどうかは別問題です。

そう考えるときに、自分で土をいじって自然環境で育てるというのは合理的に説明するのでなく、感覚的な営みという気がしました。気になる方はぜひ試してみてください(笑)

農地付き空き家などもまだまだですが農業としてはやらないけれどという人は根強くニーズがあると考えています。一方で全て自分で管理したりやらなければいけないのは重荷です。そこで、農地付き空き家でもアドバイスを受けられるようなサービスがあれば面白いかもしれませんし、移住促進にもつながるかもしれません。

体験農園は一助にはなりそう

結論的には体験農園自体、またはそれだけで耕作放棄地を減少させられるかは難しいと感じました。

もちろん、土地オーナーが悩んでいてそれを解決するという意味では解消しているのですが、全体的な傾向として下げ止まるかどうかというところですよね。

次の調査結果は令和2年になるのかなと思いますが、40万haを超えた今、どうなっていくかは要注目となりそうです。数字だけ見れば放棄率の伸びは下がっているので下げ止まっていくといいですね。

一方で体験農園サービスを試すことで耕作放棄地についての理解の入り口ができたのでこれも良い機会となりました。

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