全国の管理不全空き家の数

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空き家特措法から5年になるというところで、国交省から管理不全空き家の調査状況が公表されました。今回はこの調査状況をどう捉えるか考えてみたいと思います。

全国の管理不全空き家と特定空き家数

その前に、国交省のレポートを見てもらえれば幸いです。

空家法施行から4年半、全国で空き家対策の取組が進む~空き家対策に取り組む市区町村の状況について~

内容もシンプルで、4年半で特措法もはじめとして色々やった結果として、特定空き家は1.6万件になったというものです。除却ももちろん色々やって約7500件は対処したし、そもそもの管理不全空き家は7万件は対応して管理適応空き家にしたよということです。

別紙2の資料からは、管理不全空き家と明記されてないですが文脈的に、所有者が特定できた管理不全空き家が26.5万件(30.7万件が元データ?)あり、そのうち特定空き家としたのは2.4万件だったようです。

26.5万の管理不全から、市区町村の取り組みで約7万件なので、ざっくり約26%の対応率となります。これが高いかどうか。管理不全と分かっているがこれから対応するみたいなものは対応したものになってはないでしょうし、状態が分かりづらいんですよね。だから、対応したものが明確なものだけが件数にあがっていると捉えました。

特定空き家は2.4万あり、これは7500件は対応したと。残りの特定空き家は1.6万あるというところです。対応率は7500/2.4万とすると、約31%です。特定空き家になってしまうと問題が顕在化しますし、コストもかかります。

2016年の記事ですが、措置件数からどれくらい特定空き家があるかということを考えたことがあります。特定空き家は全国でどれくらいあるのか?では、特措法ができてからのなので数値が少ないものの、措置が当初で2,500くらいあったので、これが「最大」であり、実際は特定空き家になるのは限られるということを想定いました。

その他の空き家が320万くらいとすると、2.4万は1%未満です。これは体感的にあっているのですが、あくまで体感です。隣にあれば違和感しかないでしょう。

また管理不全空き家もその10倍と考えると、その他の空き家と言われるものが320万あり、その10%未満が管理不全で、さらにその管理不全ななものの1割が特定空き家となっているというイメージが出来ます。

この数値は市区町村全体ですが、以前に書いたように実態調査と統計調査のズレというところで、実態調査をベースに考えると、東京都では1%程度だったり、政令指定都市を中心に調べた実態調査では、一概にはいえないものの、ざっくり空き家が数千あって、特定空き家は数百あるかどうかみたいなところです。

ざっくりですが、特定空き家は少ないけれど対応が困難。その前に管理不全でどこまで潰せるかという方針と考えると、対応率が高いかは別として機能しているのかもしれません。

自治体からの指導助言かそれ以前のところにマーケットがあるか

民間企業やNPOでやれることはなにかという目線で考えると、上であげた管理不全空き家の26.5万件特定空き家でないものは、約24万件あることになります。対応が済んでいるものは7万あるので、17万件が対応中か対応予定などでステータスがふわっとしているものかもしれません。

全国で約17万件というのが多いかどうかはおいておいて、特定空き家のようにボロボロでもなく、比較的使いやすいものとなる可能性があるかもしれません。管理不全状態であれば管理業もですが、改修等リフォームとなりえるかもしれません。ただ、投資感覚がないところに投資をしませんかというコミュニケーションは厳しいのでしょう。

ヒントになるかわかりませんが、空き家問題、どうする?使わなくなった家をどう市場に流通させるか。熊本県合志市で始まっている新しい取り組みが興味深いです。この取組自体もですが、より具体的に面白いと感じたのは、

現在、相談問合せの数は、年に80〜100件程度。2019年をふりかえると、多いのは家を「借りたい」「買いたい」が多く、合わせて全体の69%を占めます。家主から「貸したい」「売りたい」という相談は7%のみ。ところが「法律相談」や「近隣空き家の苦情について」など残りの24%が、その後「空き家をどうするか?」につながり、最終的には市場に出す大きな導線になっています。

同記事より引用、太字は筆者注

ポイントは問い合わせ等の中で、いきなり話が始まるのでなく、借りたいや買いたい利用したい側でなく、中間的などうしたらいいかというところが起点になるということです。

そういう意味で空家等の先駆的モデル事業等で比較的多く見られた印象として「所有者向けにセミナー」等を開催し、ニーズを聞き出すというところでした。でもこれは、売買、賃借それに付随するようなリフォームや解体という明示的な選択肢かカウントされづらいというところです。

相談窓口を設けてやっているといっても、相談をする→選択肢の提示→なにか売りつけられる、専門家への相談も要領を得ないこともあるので、明示的な選択肢でない「中間」の「相談と感じさせない」領域が肝かもしれません。

何を言っているかというと、上でも書いたように空き家所有者でも、そうでない近隣の人でも、様々な問題があって(これらは特に個人的な問題や課題が総合されるでしょうから)、一生活の中で非常に問題となっているから、気になっているがどうしようもないと諦めている(実際に諦めたくなるような状態もあるわけでしょうが)ということが想定できます。

その中に「投資」的な選択肢であったり、明示的な選択肢としてどれがいいですか?というのはあまり上手い手ではないということです。

もっとも、選択肢としてこれらを総称して「相談」してくださいとなりがちですが、もしかして、これらは相談前の相談みたいなものかもしれないですね。歯切れが悪い話になりましたが、ここにヒントがあるかもしれません。

利活用したい人と提供したい人のズレは消えていくかどうか

これはマッチングの問題といえるのですが、結局はマッチングが点として行われるかどうかだけだとかなり厳しそうです。点でなく線や面としての動線が欲しいわけですが、空き家バンクもですし、各種民間サービス、行政の窓口もまだまだ点という感じでしょう。実際に選択肢が様々にあって最適なものを選べる人は限られるのと、そもそも「何が最適か」も分からないのですから、答えはないと考えています。

今後の見通しとして、例えば管理不全が管理空き家となり、さらに売買や利活用になっていくかという流れですが、正直なところ一部にとどまると考えています。なぜなら、利用したい人は利用したいイメージがあるものの、それらはあくまて低コストであったり、「良い物件があれば」という程度にあるからです。

貸したい、売りたいという人はその空き家の状態に関わらず深刻です。この気持的なズレが相当程度コミュニケーションしないと解消しないと考えています。では、相当程度コミュニケーションできるかというと?なかなか難しいので、つなげる人やファシリテーター的な立場の人が良い人でないとまず厳しそうです。

これらが絶対数としていきなり増えるわけではないですから、マッチングされたり、うまく活用していくケースは悲観的ですが「一部限られたケース」になると考えています。それこそ、数年前の成功事例がずっと参照されたりというイメージです。

取り組みとしては民間からNPOから行政もはじめ、様々な角度からやっていくのはありです。構造的に時代的にも社会的にも建物が相対的に多くなってしまった、というのが一つの感覚です。商品の飽和というように、建物の飽和というところですね。

とはいえ個々の取り組みや活動、アイデアやビジネスに対してはポジティブであって、状況が悪くなるように願うことはありません。むしろどうすれば良くなっていくかというところにフォーカスを当てていきたいものですね。

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