自治体が空き家を寄付として受け入れる東白川村の取り組みが面白い

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空き家を自治体に寄付することは基本できないという認識です。一方で寄付を受け付けることで流通を促すという取組が岐阜県の東白川村で行われており、興味深いので調べてみました。

自治体は空き家の寄付は断る

少し前の記事に空き家は市区町村(自治体、行政)に寄付できるのか?で書いた認識と変わりません。つまり、自治体は使える空き家、空き地、何か活用が見込めそうなら受け付けますが、そうでないなら断ります。

論理としては、不動産からは固定資産税が取得できるわけで、自ら抱えるとすなわちそこからの税が取れません。またコストとして、受け付けた不動産は自治体管理となるので、それを担うことがコストとなります。

これが常識というならば、東白川村の取り組みは逆といえそうです。つまり、リスクを受け入れる(自治体らしからぬ発想です)ことで、その先の流通を見るということです。

東白川村のリユース事業

詳細はこちらの記事寄付を受けた空き家を安く提供、東白川村の移住促進が詳しいです。簡単にいえば、寄付を受け付けた空き家第一号が受付完了し、希望者に譲渡されるという流れです。詳細は記事を見ていただくとして他の情報を探してみます。

東白川村の空き家バンクから、空き家物件が閲覧できます。寄付物件として上の記事で紹介されていたのものは、No.13の木造戸建てとなります。

こちらにある寄付物件について、東白川村リユース事業としてPDFに書かれています。

価格は14万円(これが空き家の残置物処理費用などに該当)ですが、寄付物件の利用における条件も書かれています。

とくに注目すべきは、

(利用者の資格)
第3条 リユース事業を利用できる者は、住宅にあっては、東白川村空き家バンクに移住希望として登録した者で、選考または先着により空き家物件の取得者に選ばれた者また、物件購入後概ね2年以内に居住を開始し、購入物件の所在地に住民登録をすることができる者

東白川村リユース事業実施要綱より引用、太字は筆者注

当たり前といえば当たり前ですが、抽選などの当選後2年以内に移住が前提です。移住とは住民票の登録を意味するといっていいでしょう。文字通りそこで生活するということですね。

これならよくある移住定住促進としての縛りですが、次の転売、譲渡制限から村がリスクを担ったとも読める文言が見えます。

(転売、譲渡の制限)

第7条 なお、当該住宅の所有者が東白川村である場合、この要綱により取得した住宅は、その取得から5年以内の無償、有償に関わらず一切譲渡等してはならない。譲渡等が明らかになった場合は、村は住宅の返却を求めることができる。ただし、相続による所有権移転はこのかぎりではない。また、5 年以内に利用者が村外へ住所移転した場合には、当初の売り渡し価格で村が買い取りを行うものとする。

東白川村リユース事業実施要綱より引用、太字は筆者注

取得から5年以内はそのまま使ってねというのは、実質5年は定住してねということになります。仮に買って住民票はあるけど「入居人がいないことが多い」となると、色々問題になりそうですがそういうケースは一旦おいておきましょう。

最後が村のリスクです。仮に5年以内で住民票を移す、何らかの事情もあるでしょうから、その場合はNo.13であれば14万円ということだったので、買い戻すことになります。

寄付物件のリスクは村が所有することで先程書いたような管理コスト、固定資産税がゼロになることということです。ですから、寄付は一時的であって、早く流通として移住定住者にマッチしていくことが求められます。

これが村側のリスクです。逆にメリットはそれによって、低価格(実際は職員と地域おこし協力隊の手が入ってるので民間のコスト感覚では無理でしょうが)で提供できるため、移住定住者は応募しやすくなるという点です。

自治体が寄付受付し流通する仕組みは回るか?

自治体が寄付を受け付けてリスクを負うというのは驚きました。この場合村は年12件の移住を想定しているとしていますが、移住定住する仕組みとして空き家流通は有効ですが、定着するかはまた別問題です。最悪のケースとして、寄付物件で移住定住開始するが数年で根付かない場合も想定されます。

その場合、村が寄付物件を管理するコストがかかりますから、そのまま管理しても文字通り意味がないので、体験入居施設にするとか、何かしら用途を見出すことになります。

他には低価格という点は個人間やり取りならいいのかもしれませんが、低価格は職員等の役務が入っています。いわば税金でやっていると言えるので、この場合、移住定住等の施策であってかつ効果を出していくことが求められます。

空き家バンクのマーケットといいますか物件だけを見ると、賃貸や売買もある中での寄付物件ということで、これらが比較されると売買物件は不利といっていいでしょう。と思って再度「個人売買物件」をみると、リユース事業の中として、「残家財が整理できずに空き家バンクに搭載できなかった物件を、リユース事業の一環で残家財を整理し、空き家バンクに搭載して流動化させる施策」(同資料引用)となっているので、放置気味の空き家を個人売買物件であろうが手を入れている点も「リユース事業」の一貫なのでしょう。なので、想定では、寄付物件も個人売買物件も「リユース事業の要綱」が適用されるのでしょう。そうなのであれば、個人売買だから不利とも言い難いかもしれませんね。

他の自治体も移住定住支援として同様に進めているか、または今後広まるかもしれませんね。

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