空き家マッチングサービスと宅建業との関わりを調べてみた

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空き家のマッチングサービスの宅建法との兼ね合いがどうかという話です。少し前ですが、2017年2月の空き家の賃貸借情報提供サービスに係る宅地建物取引業法の取扱いが明確になりました~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用~を見ていきたいと思います。

空き家マッチングとは

空き家マッチングは、ビジネス的な意味合いが強いもののうまくビジネス化出来るほど簡単ではないでしょう。

「空き家を探している人」と「空き家を提供したいオーナー」をマッチングすることを言います。

さてこれは、宅建法(宅地建物取引業法)に反するかどうかはわりと議論されるところだと思います。

マッチングビジネスと宅建法の考え方

宅建法を取得した人でさえ曖昧な点はあるでしょうし、また弁護士や法律の専門家でさえ判例等を用いた説明を用いると考えられます。

私は宅建士でもないため、一意見程度にどうぞというところです。

では、経産省のグレーゾーン解消制度の回答を一個ずつ見ていきましょう。一読で分からなかったので何度も読み込んだ上でです。

空き家の賃貸借情報提供サービスに係る宅地建物取引業法の取扱いが明確になりました~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用~

空き家マッチングサービスは宅建法に該当するか?

照会者であるサービス事業の概要

空き家を所有しその賃貸を希望する者と空き家を賃借したい者からそれぞれ登録を受け、空き家所有者の情報と賃借希望者の情報を提供する事業を検討している事業者

(同記事より引用、太字筆者注)

上記を冷静に見ると、売買ではないんですね。あくまで、空き家オーナーと賃貸希望者です。これは盲点でした。この話は賃貸、つまり借りる人と貸す人という視点で見てください。

結論的にいえば、宅建法には該当しないです。ですから、本事業は宅建がなくてもオッケーということですね。

では、その条件というのは、宅建法の解釈が関係省庁からの回答としてあるわけですが、わかりやすく一個ずついきます。

1.照会者が空き家調査などを行わない

(1)照会者は空き家の調査を行わず、また独自に取得した物件情報を登録するものではないこと

(同記事より引用、以下同様)

照会者とは誰かですが、本グレーゾーン解消制度に問い合わせをした事業者のことです。慣れてないと誰だか分かりづらい言葉ですね。

空き家マッチングする事業者が、オーナーから投稿される空き家を調査をしないということです。空き家マッチングはあくまで「マッチング」が主体であり、その「空き家の物件状態を保証する」とか「空き家の品質を吟味する」ことは目的ではありません。

また独自に取得した物件情報は、事業者自らがまたは何らかの調査代行とか、委託とかも含めて、集めた情報を登録するのではないとあります。つまり、あくまで空き家オーナー自らがそのマッチングサイトに登録するということを指します。

逆にいえば、空き家を調査したり、独自に取得したものを自ら事業者が登録するとNGになることでしょう。

2.利用者に助言を行わないこと

(2)サービス登録者が相手先を検索する際に、特定の登録情報の提供や助言を行わないこと

サービス登録者とは、おそらくサービスを利用する利用者です。文脈的には、「空き家を賃貸したい」という賃借希望者です。

その際に、空き家マッチングサイト上のデータとして、空き家情報が検索結果に出るわけで、その空き家情報についての話です。

「特定の」が分かりづらかったですが、おそらく空き家オーナーから出された情報以外の情報を付与する意味合いだと考えられます。つまり、利用者はあくまで「そこにある情報を探す」ことであって、それ以上の情報提供やアドバイスはしないということです。情報というのは、例えば「風景が良い」というものも駄目かなとか、空き家に関する情報でなければいいのかなどはよく分かりません。

このあたりからマッチングする際にそもそも付加的情報、またはアドバイスがないというのはちょっと厳しい気がしました。このあたりまた整理してみましょう。

3.リノベーションは賃借希望者の要望で行わない

(3)空き家のリノベーションをする際にも、その提案は賃借希望者の要望を受けて行うものではないこと

リノベーションをするというのは、空き家自体が割と古く、実際に使うには直していく必要があるわけです。その際に、賃借希望する人がオーナーにリノベーションをしてと打診するということは駄目ということですね。行ったかどうかが肝でなく、賃借希望者の要望というのがなければいいのかなと。

おそらく宅建法の中で、賃借の場合に何かしらその規定があるはずです。

直観的には、賃借的な契約をする前後で要望を出したりそれに応じることが「仲介」行為なのかなと思っています。これは後で調べてみます。

4.契約自体は宅建業者に依頼すること

(4)空き家所有者又は賃借希望者が選択した宅地建物取引業者に契約の媒介を依頼すること

これは、空き家オーナーか賃借人が決めた宅建士(不動産会社)に契約を仲介してねということでしょう。つまり、照会者である事業者は契約にはノータッチという解釈です。

逆に契約に関わるとかであればNGと考えられます。

5.サービス事業者は内覧にかかわらない

(5)照会者は内覧に関与しないとされていること

物件を探す時に内覧といって、予め不動産物件を見るという行為ですね。これはサービス事業者が関わらないということとなります。内覧をする場合のサポートは、4でいう選択した宅建業者がやるということですね。

以上の5つをもって、宅建業には該当しないと回答しています。

これは新事業を行うと考える事業者にとっては参考になるものの、賃借でなく売買はどうなのかとか、それぞれの個別要件が異なるとどうなるかまでは分かりません。

こういった空き家マッチング事業についての理解は深まる一方で、気になる方は経産省に問い合わせてみるといいと思います。

関連するグレゾーン解消制度の回答

より理解を深めるために、関連事例がないかも調べてみました。

グレーゾーン解消制度とは。で、2例紹介されています。空き家の賃貸マッチングではないですが、不動産の紹介行為という点が宅建法に該当するかどうかという話です。結論的には、紹介行為は情報だけで、契約は宅建業者がやるので問題ないということです。

遊休不動産所有者の情報の提供サービスの宅地建物取引業法上の取扱いについてという行政書士さんの記事はわりと最近のネタでした。こちらも遊休不動産所有者とはオーナーのことで、それらのオーナーがもってる物件を不動産会社に紹介するというものですね。仕組みは上と同じで、不動産会社かオーナーかどちらか分かりませんが、紹介料とか成約手数料みたいなのをもらう感じでしょう。

これらの回答は、情報提供だけ、取引に関しては関与しない、契約は宅建業者が行っていることというのが明確になったと思います。

現実的なマッチングサービスを行うと宅建業者が行うのが実際か

話を戻しましょう。

これは私の意見に過ぎませんが、上の賃貸マッチングの照会回答からすると、

  1. 照会者が空き家調査などを行わない
  2. 利用者に助言を行わないこと
  3. リノベーションは賃借希望者の要望で行わない
  4. 契約自体は宅建業者に依頼すること
  5. サービス事業者は内覧にかかわらない

この5つで、1,4,5はなるほどと思います。ただ、2の助言は空き家マッチングサービスの肝のような感じもします。つまり、この空き家がおすすめであるとか、ここがいいということをプッシュしたり、魅せないと空き家を借りたい人は心が動かない気がしました。つまり、助言がないなら宅建業には反しないのですが、助言したいなら宅建業者が運営するということになるでしょう。

とはいえ助言自体そもそも、空き家物件を見ておらず(空き家オーナーの情報として写真程度はある、そのオーナーの文章提供はある)、その状態でのアドバイスは説得力がないでしょう。実際にやったとしても。そういう意味で調査ありきの助言と考えると、個別に考えるのでなく5つセットで考えるほうが自然でしょう。

3はうまく調べられなかったので保留としておきます。整理しておくと、リノベーションは空き家の古い物件などで必要でしょう。ただそのリノベーションを賃借希望者が要望してはNGで、オーナーが勝手にやればいいということでしょう。賃借希望者の意思や要望が伝わった時点で駄目なのか、そのあたりがよくわかっていません。あくまで推測ではこの行為自体が宅建業でいう仲介に該当するのではないかと考えています。また調べてみたいと思います。

そして実際に空き家マッチング等を行う場合に、これらを意識してやるのは少々というか大分骨が折れます。また、運営者自体が相当信頼される大手であるとか、知名度はなくても業績や実績で信頼構築があるという事業者でないとかなり怪しまれてしまうでしょう。そういうことがあるから、宅建業を取得して宅建業者が行う空き家マッチングサービスは信頼できると考えました。

もちろんビジネスとしては低廉空き家のみのマッチングでは成り立たないのが実際でしょう。

おわりに

宅建業について理解不足もありますが、もっと学んでいこうと思える調べ物でした。

「宅建業の免許が必要な取引について」は面白く読めました。大家さんなどは宅建業は不要なのは、自己所有物件を賃貸しているからなんですね。ただ、中古マンションなど仕入れてリフォームして転売を継続すると「業として」ということになるため、宅建業は必要となるようです。このあたりもしっかり把握しておきたいですね。

空き家マッチングサービスなどを考えている方の今回の記事がヒントになれば幸いです。

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