空き家の借上げ・サブリースサービスを再度調べてみた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

以前、空き家を刈り上げ転貸(サブリース)して物件を大きな金銭的負担をせず改修するという仕組みを調べました。空き家の借り上げサブリースサービスが少しずつ始まっているから2年経っているので、再度調べてみました。今回は空き家のサブリースサービスについてです。

サブリースと聞いて悪いイメージをもたれる方もいると思います。これらのイメージは、新築の賃貸マンションや不動産投資での話です。

今回紹介するものは、築年数が数十年経った空き家(既存物件)に関してリフォーム費用を回収できそうな見込みがあるものを、オーナー初期負担がなくできるという仕組みを指しています。

カリアゲ

カリアゲは株式会社ルーヴィスが行うサービスです。築30年以上の空き家物件をオーナー負担ゼロで再生し転貸するとあります。事例一覧にある下目黒の家がカリアゲ初事例で2015年7月となっています。

リフォーム負担ゼロで空き家を賃貸に 一定期間の借り上げで支払いに書かれていますが、京急グループ(京急電鉄が借上げ、京急不動産が仲介・管理し、リノベーション設計・施工は京急リブコとルーヴィスが行う)と2017年春頃から協働しているようです。

カリアゲ京急沿線は、実績としては4件のようです。カリアゲのサブドメイン形式のURLとなっていて面白いですね。工事中を含めてとあり、事例一覧では完成が2件で、工事中が2件と考えられます。

6年間の借上げる中で、収支例が上がっています。自分でリフォームして賃貸した場合のほうが6年間では約47万高い(1年間では8万円ほど)ですが、カリアゲるとその金額は得られないけど、リスクを軽減して行えるという仕組みですね。

改修費自体は例えば改修後の賃貸収入が月10万円だとすると、42ヶ月分が上限なので420万が上限のようです。10万円の場合はオーナーへの支払いは1万円となります。築30年以上で1年以上空き家限定というのも面白いですね。

相鉄の空き家バンク&リース

相鉄不動産販売が行う借上げサービスです。同記事によれば、2016年3月から開始し、3件の実績ということのようです。公式サイトには事例一覧等はありませんでした。

小田急の「安心」サブリース

小田急不動産が行借上げサービスです。同記事によれば未公表とありますが、施工事例は6件あり、マンションが5件、戸建てが1件となっています。

スキームは5年間で、月額保証賃料を10万円として、改修費を毎月控除して残りを支払う形となっています。サイト事例では、リノベ費用が180万で、5年間=60ヶ月なので、1ヶ月3万のリノベ費用を控除。月額保証賃料が10万なので、オーナーは月7万円を受け取るというものです。

実際の事例を見てみましょう。

施工事例01は、築22年1LDKを290万円でリフォームし5年間の賃料保証で、控除額は月4.8万なので、5.2万の支払い。

施工事例02は、築41年1LDKを380万円で3.6万の支払い。

施行事例03は、築21年3LDKを304万円で約5万の支払い。面積が大きいですが実質1F部分のみのようです。

施工事例04は、築29年で1Rを163万円で約7.2万の支払い。

施工事例05は、築30年で1Rを133万円で約7.7万の支払い。

施工事例06は、築43年で2LDKを168万円で約7.2万の支払い。

という形で、築年数は20年以上で、マンション中心という形ですね。

当然サブリース事業者は管理を含めて入居から全て行うのでその手数料として、実際の家賃収入-(10万-リノベ費用)=事業者粗利となるはずです。例えば、築年数があっても立地がいいのでキレイな家ということで借りられるという見込みが相当あるのでできるわけですね。

また当然ですがこれらの賃貸物件の数自体は事業者の管理物件の極一部なのでリスクもほぼないと考えられます。

例えば施工事例01が仮に15万程度の賃貸収入であれば、15万-(10万-4.8万)=15万-5.2万=9.8万ほどになりそうです。15万に対してオーナーは約3割になりそうです。もちろん仮になのでもっと賃貸収入が高ければ率は低くなり、低ければ事業者が儲からないのでそこまでやらないのかなともいえます。これらの想定賃貸収入はやはり生命線となりそうですね。

らんでんすもすもプロジェクト

京都の嵐電沿線での借上げサービスです(買い取りもあり)。

2018年3月ころから始まり、2件の実績があるようです。らんでんすもすもプロジェクトのFacebookページに詳細があります。

こちらもリノベーション費用を事業者が負担してという仕組みです。オーナーへの支払い賃料は目安が書かれていますが、割合などの明記は見当たりませんでした。

AKARI

北斗ソリューションズ株式会社の行っている借上げサービスです。サービス説明ページではAKARI三鷹の事例がありますが、他の事例は見つかりませんでした。

空き家の実家、貸してお得 家賃保証や改修費不要によれば、2016年7月時点で4件のプロジェクトが進行中とありました。

アキサポ

株式会社ジェクトワンが提供するサービスです。

サービス説明の動画もありました。

ニュースとして、【空き家活用しました。】京島空き家びらきのお知らせでは、長年空き家だった元酒場を改修しカフェで活用する事例です。【新聞掲載】住宅新報❝最適な再生化事案で地域活性化での取材記事では、2016年8月に始めたアキサポは年間で10件程度ということのようです。

改修費は全て持つようで、カリアゲと同様の想定賃料の1割がオーナーに支払われるということのようです。

ジェクトワンのコミュニティ事業部ページを見ると事例がありました。活用事例では、4事例となっていて、賃貸住宅の事例もありました。冷静に考えるとこれらは空き家活用等の企画ですが、それをアキサポが改修費用を負担してまでやるというのは、なかなか面白いことです。

つまり、活用案などの企画力に相当の自信があること(それに付随する周辺物件やリサーチなどの力)でしょう。それはジェクトワン自体がソリューション事業などの開発事業やリノベーション事業で培ったリノベ実績が基にあるからできるといっていいでしょう。

気になったのは空き家ポータルサイトを2018年9月にオープン予定という話です。まだサイトはないようなので今後に注目ですね。【DIY×空き家】ポータルサイト「GOODIY」サービス説明会を開催いたします

「選ばれた」物件しかできない

2年前でも同様のことを思いました。確かにオーナーにとってはリスクがなくバラ色に見えますが、全ての物件に適用できる夢の企画ではありません。彼らもビジネスですし、ビジネス的にいえば投資回収ができないことに手を出す人はまずいません。

別のサービス提供者の方からも、再建築ができない物件に対して有効な仕組みであるという話もいただきましたが、実際そのとおりなのでしょう。

ZAKZAK記事ではソースは書かれていませんが、10件に1件程度ということで、手持ちの物件を借上げしても回収できないということであればやらないので、できる人が限定されるといえます。ただ逆に言えば、再建築ができないとか、立地がいいけど古いだけということであれば良い手法かなと改めて感じました。

そういう意味で、上の借上げ事例の数が数件というのは首都圏ということでその程度だと考えると、地方で適用は厳しいかもしれないですね(無理ではないけれど、首都圏より限られた割合になりそうという予想です)。もちろん、隙間があったりするのでそこがチャンスになるかもしれません。

鉄道会社は沿線価値のために、共通するのはまちの賑わいか

鉄道会社は不動産管理会社などもグループで行っているため、ハードな意味でまちづくりをしているともいえます。沿線自体の価値を下げないためにも、借上げサブリースというのは良い仕組みなのでしょう。

鉄道会社の空き家活用サービスのまとめも参考になります。

非鉄道会社であれば、ルーヴィスやジェクトワンなどリノベーションなどを手がける会社がオーナー視点に立って提案しているというのも面白いです。この場合どこまで鉄道会社とは別の視点、違う視点でいけるかどうか(結局効率性からすると、立地がいいのは沿線近くのため)という感じもしました。

おわりに

2年前に比べて少しずつ実績が出てきたものがあり、活況とまではいきませんが、立地が良いが建物的に問題があるものには手法として定着しているといっていいでしょう。

またJTIのマイホーム借上げ制度については、空き家対策というよりも、マイホーム=住んでいた家を住み替える、しばらく家を空ける場合というケースであり、借り上げしているものの趣旨がずれると考え取り上げていません。気になる方は調べてみてください。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

名古屋の不動産市場を知る

日本ランドエンジニアリング株式会社では、数年に一度のペースで、名古屋中心部エリアの不動産状況を調べています。2017年度は変貌する名古屋5(2017年6月作成)を発行致しました。名古屋の不動産市場を見るデータとしてご活用頂ければ幸いです。

名古屋中心部エリアの調査レポートです。表紙、裏表紙込みで全体で12ページとなっています。配布ファイルはPDF(約2.5MB)で、データファイルはA3サイズですが、A4の縮小印刷でも可読可能です。

レポート内容は、

1.建物の主たる利用別用途図(P.2-3)

2.建築中および5年以内に新築・建て替えられた建物(P.4-5)

3.既存および建築中ホテル(P.6-7)

4.所有権の異動(売買および相続)(P.8-9)

5.投資法人が所有する建物(P.10)

6.名古屋市中心部の状況(P.11)

となっています。

PDFデータをご希望の方は、変貌する名古屋(別サイト)にてダウンロードをお願い致します。

空き家の教科書では、次の一手や戦略が立てられるようになると考え、本資料を配布しております。

詳細を確認する

RSSでもご購読できます。