総務省の自治体向け空き家対策に関する実態調査を見てみた

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総務省が自治体の空き家対策について状況調査をしていました。今回はこのまとめを見ていき、自治体視点での空き家対策を深めてみましょう。

空き家対策に関する実態調査

空き家対策に関する実態調査 <結果に基づく通知>から調査結果資料がダウンロードできます。全体版は300ページくらいあるので時間がない方は要約のみでオッケーでしょう。

要約版は、空き家対策に関する実態調査の結果に基づく通知(概要)でまとめられていて、6ページのパワポ形式です。

この取りまとめ自体は空き家特別措置法から2年経過しており(感覚的には平成27年5月だとするともうすぐ3年ですが、調査実施が平成29年10月から開始なのでその感覚になりそうです)、そこからどういう状況となっているか。自治体側で既に試行事例があるのでそれらを共有して展開していこうというものと言えそうです。

想定される読み手は、自治体の空き家部局というか担当者ですが、空き家問題に関心がある方、当然空き家所有者や空き家予備軍になりそうな方が読んでも楽しめるかなと思います。

ポイントをピックアップ

ざっと6ページは読んでいただくとして、その中でも気になったところを取り上げてみたいと思います。

所有者特定は95%はいけるが、最期の5%は特定困難

調査対象だった自治体からの数字(72自治体)ですが、1万戸ちょっとを調査するのに、活用情報は当然1万以上必要ということです。固定資産税情報、登記簿情報、戸籍情報、住民票情報の情報数は2.3万件となり、あくまで平均ですが1戸あたり2倍の2件以上の情報が必要となります。実際は特定困難なものが件数を増やしているとは思いますが。

95%特定できるわけですがその特定コストも、所有者が数十年前に死亡したり相続人が数十人に及ぶ場合は特定できたかは不明ですが、介護サービス利用履歴や自治体等の過去の住所録、司法書士会・行政書士会などのプロに協力してもらうなどでどうかというところです。

特定できなかったら話が始まらないのですが、多くは特定はできるという認識で良さそうです。そして特定できなかったものが全てではないですが、仮に特定空家として略式代執行しても費用回収が難しいかもしれませんね。

管理不全の空き家所有者には指導工夫をしていく

1回目の指導では改善されなかった理由が書かれていて、トップ3が、無反応、経済的理由、相続放棄・相続人間でのトラブルとなっています。他には民事トラブルや危険性を認めないとかです。

面白いのは、無反応なら送付文書に黄色や赤色として警告感(実際は指導ですが)を出して意識を強めたり、経済的理由でできないなら補助や解体ローンを勧めたり、危険性がないというなら現場写真を同封してどうかという工夫がされています。

涙ぐましいというかものすごく工夫している気がします。

代執行や略式代執行で費用回収はほとんどできてない(現時点では)

要約版では48事例中5事例が全額回収となっています。執行した対象の1割程度ということですね。つまりほぼ何らかの形で自治体が負担するか、一部しか回収できないかということを覚悟する必要があります。

これについては全体版でもう少し詳細を見てみましょう。

全体版のP.57に代執行の費用回収状況が書かれています。

代執行では10件、略式代執行では38件となっていて合計48事例ということですね。

代執行では、全額回収済みが1件、他は、費用の一部を回収または回収見込みが3件、分割納付中が2件、請求中が3件、検討中が1件となっています。あくまで現時点で回収できたかどうかなので、請求中や分割納付中も全額回収できる可能性はありますから全額回収率は上がる可能性もあります。

略式代執行では全額回収が4件、費用の一部に国や県の補助金利用が13件、費用の全額または一部を回収予定が5件、検討中が3件、自治体全額負担が13件となっています。全額負担したものを今後請求していくかどうかもありますが、おそらくですがその場合は回収予定に入れるだろうと捉えました。

3割は補助金で補いつつ、3割は自治体が全額負担(市民の税金ということですね)、残り3割で回収できたり一部できたり、検討中という捉え方ができます。

気になる方は数字をチェックしてみてください。

自治体、現場担当者も困っている

自治体視点でいえば法整備され現場で取り組みができるわけですが、実際は現場担当者が専任でいることのほうが稀で、実態は1,2人での担当者がやることになります。しかもその知識やノウハウがない場合も多いわけでその場合全体を巻き込んでいくとなると、労力や時間がかかっていくわけです。

本調査自体は自治体向けの共有という位置づけで、まとめではないですがP.70に書かれていることを一部引用してみましょう。

調査した自治体では、空き家対策に関する取組について、他自治体の取組内容を知りたいがその把握が困難などの意見が聴かれたこと、取組(特に代執行)の実施に当たり、実績のある自治体に取組内容等を照会し対応している例がみられたことから、自治体が空き家対策を実施するに当たっては、他自治体の取組内容等の情報が有益と考えられる。

空き家対策に関する実態調査 結果報告書(総務省行政評価局)P.70より引用、太字は筆者注

太字にあるようにそういう現場で1,2名でやってるので目の前の業務に追われて他のノウハウややり方を見る時間もないため、情報があると助かるということが伝わってきます。

本ブログでも一発解決するアイデアやこうすれば良くなるという改善案を出していきたいところですが現状は業務レベルでも相当つらいということが伝わってきます。つまり誰かに任せておけば良くなるという楽観はちょっと厳しく、土地不明者の利用権もあったかと思いますが、さらに対応ができる仕組みを作っていくことが求められそうです。

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